読み出したら止められず、声を出して笑い、そしてほろっとさせ、また何か目の前をぱっと明るくさせる、そんな作品と出会うことが出来た。何はともあれ、ページをめくる手が止まらないほど面白い。主人公の瓢吉をはじめ、夏村大蔵、吉良常ら登場人物すべての血の熱さと肌の温もりを感じてしまう。この長い作品「人生劇場」の「青春篇」を読んだだけだが、この青春篇に関する限り、日本文学史上でも最高峰にあるといっても過言ではないと思う。これを読んだ自分がなんと小さく、かつ卑小に思えたことか。「野心なくして何の青春ぞや」「わが胸の燃ゆる思いに比ぶれば煙は薄し
桜島山」まさにその通りだ。=以上私が大学4回生の時の感想文を引用しました。