前2作とはカラーの違うこの3作目。観る前から良さそうだとは思っていたのですが 期待以上の素晴しい出来でした。 マイティが仲間に恵まれず、ずるずると落ちていく様は観ていて辛いのですが 「自業自得だ」という様な突き放した気分にはならず、逆に「そんなことで負けるな、頑張れ!」という 気持ちになってしまいます。 マイティとイック達、陰と陽の対比が非常にうまく、しかもどちらにも感情移入できる作りになっていて どんどん引き込まれました。 特にラストのライブシーンは圧巻。感情移入しすぎて号泣でした。
このサイタマノラッパーシリーズは入江監督の成長記録でもある様に思います。 面白いながらもどこか素人臭さがあった1作目。 1作目の問題点を修正しながらも焼き直しの様に見えてしまった2作目ときて この集大成ともいえる3作目。 細かなアラはありますが、そんな事はどうでも良い程面白くのめり込ませてくれる作品でした。 今後の入江監督の作品に期待せずにはいられません。
SR3はDVDで2回観まして、直前のCMでマイティとイックや征夷大将軍達が楽しそうに歌ったり踊ったりしている映像が 入っていたのですが、2回目それを観ただけで泣けてきてしまいました。 このシリーズはこれで終わりのようですが、 願わくば人生をやり直したマイティとイックや仲間達が一旗揚げるまでの作品も観てみたいです。
前半の公民館のライブは最高におもしろいし、後半は個人的にはなんだか泣けます。 甘酸っぱくもあり、妙に現実感もある良い物語だと思いました。
一言で言うと、「荒削りだけど、光るものが見え隠れする名作」です。 ちょっとだけネタバレあり
正直言うと初見で前情報無しで観ると序盤で「ダメ判定」をする人、演出のテンポの悪さに 「途中で寝る人」は結構いると思います。
というのは、序盤から中盤にかけての間や演出、観客に興味を持たせるフックは正直弱い 中盤の市役所のやり取りまで多少苦痛に感じる部分も正直ありました。 1カット長回しも効果的ともいえない部分も何箇所かあり、 シーン切り替えのフェイドイン、アウトも観てて稚拙な演出に見えると思います。
ただ、そんな荒削りな映画の中でもちゃんと描くものははっきり描けていて、 主人公たちのダメ人間でラップも上手くなく、努力も才能も無い、 仲間たちも離れ、自分もラップを捨てるどん底まで落ちてしまう…そこで主人公たちは何を掴み、どう選択するのか! という部分は上手く描けているし、共感もぐっとくるものがありました。
ただ、過去に夢を追いかけたり、挫折したり、 自分自身に向き合った経験のある人間にはものすごくオススメできるですが、 特に何も思わないでなんとなく生活、成功してしまった人間にはこの映画は 「なんだこいつら?オチも意味わからん…バットエンド???」としか思わないかもしれないです。 だから、100人に勧めて100人全員が面白くは無いでしょう。
でも、もし観て無い人に自分がオススメするとしたら、 「色々荒削りなところもあるが、頼むからまず何も言わないで最後まで観てくれ!後悔はしないから!」と言いたい
とはいいながら、TKDの辞世のラップは最高。アマチュア感はオリジナルがベスト。
インディペンデントながらも各賞を受賞した「SR」の第2弾。 ストーリー展開は、パート1同様であるが 最後のラップシーンはまさに圧巻!! 完全にノックアウトされ号泣しました…。
それぞれの思いをラップにのせて語る部分が、たまりません。 パート1の主人公達が、パート2の主人公の女性達をあおり それぞれの思いが交錯する場面は、本当に心が揺さぶられます。 シリーズものは、大抵パート1を超えられないものですが これは、完全に私の中では越えています…。
自分の好きな事を続ける時に起こる葛藤とジレンマ…。 誰もが、人生において通る道を 「ラップ・日本・地方」に落とし込んで より鮮明に描いた作品ではないでしょうか…。
インディペンデントという予算に限りのある作品でも 作り手が、本気で取り組み、魂をこめれば 珠玉のものが作り上げられるという事が 再認識できました…。
近々、パート3が撮影されるようですが 色々な意味で期待せずにいられません…。
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