有名な生島遼一先生訳「第二の性」の冒頭の一句。この本の第一章も「ヴァイオリニストとは、なるものだろか、それとも、そのように生まれつくものだろうか?」と題されています。ヴァイオリンとピアノは幼いうちに発見された才能と、毎日の鍛錬練習が命とも言える楽器と思います。後年になってからでも取り返しの利く管楽器と違って、早いうちから、正しい教育を受ける事が何より重要です。この本はヴァイオリンの技術、そして演奏のレパートリーやプログラムの立て方、楽器、推薦する先人の演奏などが紹介してある、
コンパクトで情報の詰まった便利で楽しい本です。
翻訳の日本語も読みやすく、専門家でない私でも十分読めました。アッカルド本人が引用していた有名なダヴィド・オイストラフの言葉「技術は持たなければならないが、次には音楽だけに集中するために、それを忘れなければならない」というフレーズがこの本の要旨ではないかと思います。
ヴァイオリニストはヴァイオリニストに生まれるのではない。ヴァイオリニストに「なる」のだ。それがアッカルドの一番言いたかった事のように思えました。