『
星界の紋章〈1〉帝国の王女』です。
アニメ化もされた星界シリーズの第一巻です。
壮大な(設定の)スペースオペラです。読者の好みによって好き嫌いがかなりハッキリ分かれそうな作品です。
話としては、ジントとラフィールが出会うボーイミーツガールと単純に言い切ってしまってもいいのですが、その背景となるエスエフ設定が確かに凄いです。
アーヴ、アーヴ語の設定は詳細にして膨大。それが前半から延々と説明されます。ストーリーが始まる前からの設定説明の多さに、うんざりする読者も中にはいるかもしれません。
ジントとラフィールが出会ってからの中盤以降はちゃんんとスペオペしていて面白いです。ラフィールは独特の口調もあいまってなかなか格好イイですし。
設定のゴタゴタしたすごさと、ジントとラフィールの会話かけあいの緩さが中和されて、そこそこな読みやすさになっていると思います。
星界の紋章シリーズ(VOL.1〜7)について。
原作を知っている者からすると、ちょっと物足りないかな。
特に司令官と参謀の漫才の部分がw
(ぜひ小説を読んでみて!)
大枠は忠実だが、細部のやりとりはかなり削られている。
それと、多分に時間枠の制限から来た構成のせいだと思うが、
「回想」によって処理されている部分が多くて気になった。
これは端折りすぎ!と思ったのは最後のラクファカールでの部分。
あれはいただけない。
戦闘シーンの描写やBGMは良かった。アーヴ語のナレーションとかも。
しかし、いかにも「大作スペースオペラの始まりー!」的な
オープニングに比して、キャラデザが軽すぎてギャップが・・・
せっかくの星雲賞受賞作。20話以上の構成で作って欲しかった。
銀英伝のようにはいかないんでしょうけど・・
(銀英伝は10巻を110話ですから)
原作では第一部となる「
星界の紋章」は製作側が「星界」の世界観に
なじんでいなかったのか、表現等に原作と異なる部分があったりしたので、
少し違和感を感じていました。
第二弾となる「
星界の戦旗」は完璧です。
途中で1話だけオリジナルの話が入りますが、特に気になりませんでした。
戦闘シーンでは、既存のSFアニメの常識と少し違う斬新な
戦艦が登場します。
(『地球の常識からは外れた
戦艦』)→原作通りです。
戦闘シーンはさすがサンライズ、魅せてくれます。
特に突撃艦・バースロイルが沈むシーンは原作同様感動しました。
原作を知らない方でも楽しめると思います。
面白くない、とは言いませんが、残念ながら原作の名シーンが山ほどカットされてしまってるんですよねー、これ。
検問のシーンとか、不良に絡まれ、逆に車を奪う時のラフィールのセリフとか、その他たくさん。おかげで、ジントの地上での活躍が大幅に無くなり、宇宙ではラフィールが、地上ではジントが相手を支えた、という感じが無くなってしまった。
あと、心の中のセリフがかなりカットされているのが痛い。ここでこう考えてこう言った、というのが分からないと、受ける印象が全然違ってきちゃうんですよね。「
猫の餌係にうってつけである!」とか、特に。
あと何より原作ファンががっかりしたであろう、アーヴ語不使用! まあそこは仕方ない部分なのかもしれませんが……。
あと、大したことではない、と言われるかもですが、ラフィールの髪の色。正しくは黝。黒に近い青の筈なのに……。
悪い点ばかりあげましたが、宇宙での艦隊戦はやはりアニメの方が分かり易く、良いですね。
このアニメを観た方は、是非とも原作を読んでください。アニメだけでも面白いですが、
星界の紋章の面白さはこんなもんではないのです(戦旗の新刊もや〜っっと出ましたしね)。