映画とは何か、なんて難しいことは分かりませんが、初めて映画が誕生した時、「写真が動く」ことがどれほどの驚きだったかを想像することは、さほど困難なことではないでしょう。そしてこの「バリー・リンドン」はそうした映画の魅力を思う存分味あわせてくれる作品です。
「バリー・リンドン」の魅力はすばり、「動く油絵」にあると思います。この作品の映像では、風景や登場人物、そして戦争すらも美しい絵画のように描かれ、当然のことながら動画として動いています。歴史映画を作るにあたって、こうしたアプローチをするところがキューブリックの素晴らしさではないでしょうか。まさに「活動屋」の心意気。静止している絵を「活動」させようと言うのですから、これ以上映画的な演出はないでしょう。
しかし、さぞかし
スタッフのご苦労は大変なものだったでしょう。そのかいあって、仕上がりは息を呑むような画像の連続です。
お話も、「ヨーロッパ版太閤記」といった感じで、やっぱり成り上がり者の物語は面白いんですねえ。ラストはまさに無常観。歴史に翻弄される人間を描いて完璧です。
ちなみに映画ファンではない妻は途中で寝てしまい、「だって外国の歴史興味ないんだもん」とほざいてました。本当は世界史に興味がない人だって面白い作りになっているんだけどなあ。
キューブリックの映画は、遺作以外は全て見ましたが、この「バリー・リンドン」と、
「2001年宇宙への旅」が気に入っています★
また、サントラ盤では「時計じかけのオレンジ」も含めて、三枚共に、レコード・アルバムを
持っていました。 どの映画も、とても映像がクリアで、「バリー・リンドン」も当時、
ローソクの灯りだけでの撮影が話題になりました。今では当たり前ですが・・・。
そして、この三作に共通するのが、クラッシック音楽を映画の重要なアイテムとして
使用していて、とても効果をあげています。私のように、それまでクラッシック音楽に
ほとんど興味がなかった者にも、サントラ盤ですが、購入させた?のですから「笑」
「バリー・リンドン」に限っては、時代設定もありますが・・・
このアルバムは、バロック音楽と、トラディショナル音楽を使用していて、
メイン・
タイトルとしての「サラバンド」という曲は、もともとは、11曲目のように、
シンプルで落ち着いた感じのバロック音楽で、それを1曲目や、ラストの曲では
オーケストラでの迫力ある音楽に
仕上げています☆
17曲目の、バッハの「アダージョ」は、これぞバロックという感じで、心地よく、
6曲目、8曲目のトラディショナル音楽は、笛とドラムだけでの演奏ですが、
とても新鮮に聴けて、またメロディやリズムもいいです♪
とにかく、サントラ盤としても、クラッシック盤としても、聴き応え満載です★
今の時点では、値も高く・・・また再販してほしいですね。国内盤も是非!