前作の恐之本では
幽霊や得体の知れない化け物に、精神異常者に
追い詰められいく恐怖が、高い画力とストーリーテリングで描かれた
質の高い話を集めた短編集だった。なので本作を買ってみたのだが、
他にレビューしている皆さんがおっしゃるように確かにトータルで
見て恐怖が弱く感じた。
思ったのは「くさわら」「声が聞こえる」といった悲しい結末の中にも
救いのある話や、「ウミヂ」といった怪奇的な話。「ゆきをんな」の様な
見終わった後にじわじわと怖さを感じさせる話が多いので、トータルで
見て弱く感じたからだと思う。
といっても「痒み」や「ミズ」といった、ちょっと目を合わせたり、
池で遊んでただけで、最悪の恐怖を味わった挙句に死ぬ羽目になる話も
あるので安心できる。特に「ウシロノショウメン」は女性の霊に
憑りつかれた男の話で、憑りつかれた理由がビックリで、お祓い後の
どんでん返しな結末でビックリという完成度の高い話で好きです。
良質なホラー漫画を求めている人にオススメです。
他のレビュアーの方も書かれている通り、今回は「社会派」っぽい作品が多く収録されているように感じられました。こうしたタイプの作品はアンソロジーのアクセントとしては効果があるでしょうが、そればっかりを集められると読んでてクドい気が。申し訳ないですがシリーズのワーストです。高港先生の作品が悪いのではなく、作品のセレクトに問題があるのだと思います。