若き日の屈辱のドサ周りから始まり、流行とは無縁に自分のアートを貫き通し成功していく、
トム・ウェイツに「男の理想」を強く感じました。
元恋人のリッキー・リー・ジョーンズ、ブルース・ス
プリングスティーン、ボブ・ディラン
など同年代の彼と関わるミュージシャンや音楽業界、洋楽好きには興味深い内容も書いてあります。
本書の特徴として、彼の発言はすべて太字になっているのですが、これがまたイイんです!!
独特のリズミカルで、ちゃめっ気たっぷりな毒舌は、筋の通った職人を連想させて面白い。
名言たっぷりなトム・ウェイツ ワールドを堪能できます。
まず美しい映画音楽のような一曲目、「トム・トルバーツ・ブルース」が珠玉です。初期のトムにはない、あのしゃがれた声と男らしい
バラードは、一人きりの夜に心に染みると思います。
全体的に、ジャージーなピアノが多く、そのどれもがそれぞれよい出来なので、トムのアルバムの中では「クロージングタイム」「レインドッグ」などの名盤にも引けを取らないできでしょう。静かな曲が多い中、2曲目の「ステップ・ライト・アップ」の歌詞は思わず笑ってしまいましたよ。
「ストレンジャー・ザン・パラダイス」や「ナイト・オン・ザ・プラネット」に比べると、ジャームッシュ初心者には入っていきやすいし、なにより面白くて可笑しいです。後に「ライフ・イズ・ビューティフル」で
イタリア以外でもブレイクするロベルト・ベニーニは、こっちの方が全然いいし演技も臭くない。ジョン・ルーリはクールだし、トム・ウェイツは最高だ。「ストレンジャー・ザン・パラダイス」よりこっちの方が好きだというのは、こっちの方が楽しいからだ。エンディングの曲がトム・ウェイツの映画はまずハズレがない様に思える。「スモーク」なんかがいい例だ。