第1週、子役のヒロインが父親に張り倒されるシーンには度肝を抜かれました。
でも次の回にはお父さん、「きつく叱りすぎたんじゃないか」と陰でオタオタしている(笑。
朝の連ドラで昭和前半が王道な理由の一つに女性の社会的地位が現在より低く、
その逆境に主人公が立ち向かっていくというスタンスにあります。
前作はこの点で大いに不満でしたが、それを見事に払拭してくれました。
男尊女卑、封建的上下関係、その厳しさの中に垣間見える暖かさ。
規制が厳しい昨今、いかにそれらを上手く描写していくか
スタッフが腐心しており、
その気概に引っ張られるように出演者の演技もみな生き生きしています。
端役に至るまで魅力的ですが、この第8週までならやはり裏主人公ともいうべき小林薫氏演じる父・善作。
未熟な糸子を叱り付けながら自身も決して商売上手ではなかった。
しかし娘が生まれる前から周囲の人々に支えられ22年間掲げてきた呉服店の看板を見上げる
第7週ラストシーンは台詞を全く使わず彼の決心を中心に家族や地域の絆まで想起させる神懸り的場面。
このBOX一巻だけで下手な連ドラ26週以上の内容がつまっています。
こんなに夢中になる朝ドラがかつてあっただろうか?
国民的ドラマ「北の国から」のディレクター・杉田成道は、
カーネーションを「朝ドラの傑作」と評した。
なんといっても、主演・尾野真千子の元気いっぱいの快演っぷりである。
小原糸子をここまで自然に演じられる若手女優は彼女以外に考えられない。
猪突猛進、巻き舌で啖呵を切る、しばしば周囲との軋轢を生み、喧嘩は絶えない、そして許されぬ恋も・・・。
これまでのお決まりな「心優しく品行方正な朝ドラヒロイン」像を粉砕した小原糸子。
しかし、人間臭くかっこ悪い一面も見せるヒロインに、私は多くの共感を覚えた。
そして、小林薫演じる頑固親父の憎めなさ。麻生祐未のおっとりした魅力など、周りの名脇役たちの演技。
渡辺あやの練りに練られた素晴らしい脚本に、テンポの良い演出が光り、椎名林檎の主題歌と佐藤直紀の音楽が華を添える。
ドラマを彩る衣装の数々、上方落語風の味わい深いユーモアと“落ち"、エピソードの深み、カメラワーク、照明、、、
そのすべてが絡み合い、上質な映画を観ている気分であった。
1日15分の間に何度笑い、涙したか・・・
話題性より「中身」で勝負するというキャスト、
スタッフの気概がこれでもかと伝わってきた。
ギャラクシー賞 テレビドラマ部門 大賞(朝ドラ初)
放送文化基金賞 テレビドラマ部門 優秀賞(朝ドラ初)
ザテレビジョンドラマ
アカデミー賞 最優秀作品賞
ザテレビジョンドラマ
アカデミー賞 主演女優賞(尾野真千子)
東京ドラマアウォード 優秀賞(朝ドラ初)
東京ドラマアウォード 主演女優賞(尾野真千子)
東京ドラマアウォード 演出賞(田中健二)
最後に、この感動的なドラマにふさわしい評価を各賞で与えられたという事実も付け加えておきたい。
朝の連続テレビ小説「
カーネーション」の糸子が好きで読んでみようと思いました。
ドラマとは違う長女の目線で描かれていますが3姉妹のかわいらしさに
ほんわか、クスリ。としながら読みました。
子育てエピソードがぶっ飛んでいて清々しいほどです。
読みやすかったので一気に読破。
最後お母ちゃんの愛にじんわり涙…。
今後ドラマでこのエピソードも出てくるのかしら、と楽しみに観たいと思います。
NHKの連ドラ『
カーネーション』で主人公「小原糸子」こと小篠綾子さんの実像を知りたくて入手しました。
…で、Amazonで調べたりして知ったのですが、小篠さんは筆まめでかなり自分の半生記などを上梓されてるんですね。なのに敢えてこの本を取ったのは、ご本人の著ではないというところが逆に目に留まったからです。
後書きで分かりますが、この本は実はご本人の筆ではない物の、本人の遺志により綾子の娘達の要請でまとめられた物です。そのため、綾子の生涯そのものの記述ももちろんあるにはあるのですが、それより、綾子が生きた時代−特に女性服飾の変遷史の記述に重きを置かれています。小篠綾子というコシノ三姉妹の母であり、現在から見ても驚くべきパワーを持った女性が、何故育ち得たのか?それは綾子本人の家系に起因する物、更に時代の風を受けて花開いた、と言う事がこの本ではよく分かります。
また、ドラマを見ていた人には気になる「このドラマ、事実をどれくらい反映できてたの?」という点ですが、この本を読む限りにおいては、かなり事実が反映されていると見て間違いないようです。NHKの某バラエティ番組でコシノヒロコさんが出演したときに主張されていた「次女非ヤンキー説」ですが、この本によると、やっぱり…と言う事で(苦笑)
実は小篠家は元々コシノという名字ではなかったなど、過去の暗い歴史も掘り起こされていたのが興味深かったです。