コンパクトにまとめられたフェイク
ジャズ。
破壊力を持ったアルバムだと思います。でも聴き終わった後にスカッとする
類の作品ではないです。
ロマンチシズムの薄皮の中に狂気を内包したサックス、頭の中を掻き回す
神経質なギター、炸裂する寸前でつんのめるドラム。それらがねっとりと
耳に絡みつきます。
やらなきゃならない事が山積みなのに、ただ時間だけが獏と過ぎていく
状態のあせり、苛立ち・・・そういった焦燥感を強く感じさせる音です。
被虐的な快感をもたらす格好良い音です。
ねじれていく
ジャズ、ラウンジ・リザーズのファーストアルバム。ハードコア・パンクの名コンピ”No NY!”でも異彩を放っていたジョン・ルーリーを始めとするメンバーは、
ジャケットのクールなたたずまいとは対照的に、音楽の中で革命が起こるとはこういうことだといわんばかりの演奏を繰り広げる。具体的には、上昇と下降を繰り広げるサックス、リズムを微妙に、時には大胆にずらしていくリズム隊、破壊的なアヴァンギャルド・ギター、それらが同時に発生するとでもいおうか。後期のおおらかな
ジャズ・ブルースとは一線を画する、音楽の幅を確実に広げた、絶対的な名盤です。強力にお薦めします。