普通に生きているように見える人でも、何かのきっかけで精神的に弱くなって、壊れてしまったり、例えば自分でも「あの時ちょっとやばかった」と思うことがあります。生きていれば皆そうでしょう。
この映画は、周りから見てもはっきりとわかるくらいに、精神状態がもろくなってしまっている少女たちの物語です。舞台は60年代アメリカの精神病棟で、
ウィノナ・ライダーが主人公を演じています。
スクリーンでは、一見日常とはかけ離れた世界を描いていますが、年頃の少女たちの、ちょっとかわいらしい不思議な空間を感じさせ、また、キャストの演技力もあり、言動に共感するところもありました。
一番魅力的なのは、
アンジェリーナ・ジョリー演じる役の少女で、強い個性に目を奪われます。彼女は何でも言いたいことを言って、強いように見えるけれど、本心では自分の病気を気にしていて、ラストで泣き崩れてしまうシーンが印象的でした。
「この苦しみがあるから入院していなければならない。」という気持ち、自分は病気なのだろうか?周りの人たちと違っているのだろうか?あとどれくらい病棟にいなければならないのだろうか?という不安や恐れは彼女だけではなく、病棟の他の少女たちみんなの思いであったということがよく伝わる場面でした。
時代を感じさせる演出や、音楽も良いです。同世代の方たちも色々と思うところ多い映画だと思いますが、恋や友情もあり、郷愁をくすぐる青春映画でもあります。
『17歳のカルテ』では
ウィノナ・ライダーが主演し、プロデュースも手掛けている力の入れようです。ウィノナ自身も主人公(スザンナ)と同様に、”自分は何者であるか”を思春期に悩んでいたというだけあって、とても説得力のある映画です。 ストーリーだけでなく、曲も60年代のポップスなど心に残ります。サントラ盤CDもオススメですよ!