★4の中。
『瓦敬助』『三部けい』名義も併せもつ著者の4冊目は、全2章全26話で描かれた初のオリジナル一般作な表題作長編『テスタロト』第1部の第1巻な『教皇派の章』の第4話まで。
ほか、見開きカラーイラスト1枚+カラーイラスト1頁。巻頭カラー3頁。後描き漫画『非日常的日常』3頁。
なお初めにお断りしておきますが『第1部』というのは私の身勝手な願望から出た希望にすぎず、実際はそのように銘打たれている訳ではありません。
また、物語の本筋方面は完全に未解決なまま、主要キャラの想いのドラマだけを4巻で完結させてしまったため、一般的観点からみれば第2部が描かれる可能性はほとんど皆無です。
ともあれ、物語は中世欧州的な架空世界が舞台で、修道院からその日新たに加わる尼僧『カプリア(表紙)』の目線により神父『レオニダス(表紙)』の生き様を見つめることでドラマを演出していきます。
隻眼の神父『ガリンシャ』。神父であり医師でもある『
ソクラテス』。17歳の美少年神父『ジノラ』という教皇派評議会異端審問員たち。
タイトルのテスタロトとは『頭の固い法の守護者』の意。
悪魔崇拝。異端者。
魔女狩り。立場の異なる王室派。古墳に眠っている異教の神具。罪と罰。生と死。対立する宗教と思想。闘うことの意味。それぞれの正義。などが1巻で語られます。
『ガーデン』とは?
『マテリア』とは?
謎もきっちり提示されてゆきます。
そして物語の重要な役割を担った人物の死をもって2巻に続くのですが。
はたして『ブラックロッド』に於いてあまりにも『間』がなさ過ぎたコマ展開力は、読みづらくない程度まで進歩。
キャラデももはやスタイルとして固まってきたし。無論、『カミヤドリ』に比べれば甘め残りの部分もあるとはいえ、充分にドラマとして引きつけるだけのプロットを組み、創り込まれた世界観を演出できてただけに、4巻が惜しすぎました…。
著者の6冊目は、全2章全26話で描かれた初のオリジナル一般作な表題作長編『テスタロト』第1部の第3巻な、『教皇派の章』の最終11話および第2章『マテリアの章』の第7話まで。
ほか、後描き漫画『非日常的日常』2頁。
この巻では主に『マテリア』についての謎が語られます。今まで名称としてなら散々語られたものの、その実態が全く以て謎だったマテリアの真意が徐々に明かされてゆきます。
また、黒幕たちの真相も明確な形をとって描かれ出します。
そして、右目の下にルビーのピアスをして左腕に奇妙な生物のタトゥーを施した妖艶な美女『マルチナ』という重要人物も新登場します。
物語の方向性はそのままに、天真爛漫にして純粋無垢で、ある意味『菜々子さん』以上に天然無防備なのに、その実、誰よりも芯の通った鉄の意志すら幼きにしてすでに身につけた、慈愛あまねく女神にして真っ直ぐ少女ルチッチの心意気が眩しすぎて、ノックアウトな私です。
そしてまた、鉄の意志で心を
鎧い殺戮の鬼と化すレオニダスの、その背に悪魔を見たものと、慟哭を見たものの、二人のヒロインの感受性の受け皿の違いが浮き彫りになり、その後の運命すら予感させてくれます。
仲間の生き方を鼻で笑って切り捨てた少年は、境地で彼を模倣することにより活路を見いだしたり。
あまりにも主要キャラ同士の運命の糸が繋がりすぎてる部分が見えすぎてしまってて、もう少しだけ突き放したところから偶然性も加味して組み立てた方が、より、ひとつひとつのドラマティックを輝かせたと個人的には思うのですが、想いのドラマで突き進む展開力は、澱みなく抜群。
1巻から世界観をきっちり造り込み、キャラひとりひとりの生い立ちまで遡るところから築き上げたリ
アリティーの高い心情描写が物語の厚みを高めてて、ミゴトと言うしかほかにありませんでした。