高校生時代に読み、大変面白く、感動もした記憶が45歳の今になって突然蘇り、無性に読み返したくなって購入しました。若かりし頃読んだ本は年を重ねて読み直すと、こんなものだったかな?と充たされない思いを強くすることが往々にしてあり、この「メゾン一刻」もそうなるのではと商品が到着し、包装を解くまでは不安な気持ちがありましたが、やはりというか当然、それは杞憂に終わりました。今読んでも「面白い!」の一言です。中学1年生の息子もあっという間に読み終わったようで、この作品の素晴らしさは時代を超え、年代を超えて生き続けているようです。私にとっては不朽の名作です。
めぞん一刻は今どきのすぐにくっついたり離れたりする安易な恋愛マンガではないです。
誤解あり、すれ違いあり、恋愛とはこんなに大変なんだ、苦労するのだということを本当に実感できる作品です。
しかし、それらの苦労を乗り越えて本当に好きな人とカップルになれたときの涙が出るほどの感動、言葉に言い表せない喜びを教えてくれる珠玉の作品だと思います。
主人公の五代君は、初めて会った時から何年も美人で高嶺の花であった響子さんのことを思い続けました。
響子さんは未亡人で前の旦那のことが忘れられなかったり、響子さんがライバルでハンサムな三鷹さんと結婚寸前までいったり、こずえちゃんと五代君の仲を誤解して五代君と響子さんは決定的に破局しかけたりと、2人の関係がダメになりそうなときはたくさんありました。
それでも2人が最終的にうまくいったのは、やはり2人の気持ちだったのでしょうか。
純真な五代君はずっと響子さんのことがすきだったし、響子さんもかなり早い時期から五代君のことを意識していて、女子高生八神登場のあたりでは完全に五代君を好きだったとわかります。
読者は特に終盤では2人の気持ちがお互いにすきなのに、毎回すれ違うことにやきもきすると思います。
スペインのことわざで「世界一の女性を手に入れることは、世界の王になるのと同じくらい価値がある」というものがありますが、五代君にとっては響子さん「たった一人の女の人です」とプロポーズで言っているように、世界一の女性だったのでしょう。
これによって五代君の人生は、世界の王になったのと同じくらい価値のある、素晴らしい人生となったということを実感します。
こんな素晴らしい恋愛をしてみたい、と思わせる作品です。