ジーコは日本代表監督になってから、戦術を教えられないのではないかという間違った批判を受けたりすることもあるが、川渕
キャプテンが言うように、鹿島のプレイイング・マネージャーだったころは選手たちにきめ細かに指導していた。そのころリリースされたのがこの教則ビデオだ。ジーコのサッカーの戦術に対する考えの深さは、生半可なサッカーマニアたちとは次元が違う。代表の戦術について語りたいのならこのビデオは見ておいたほうがいい。
悪夢のワールドカップから一年
オシムジャパンも海外組が合流し
アジアカップを戦った。
しかし、サウジアラビアの個の力に
組織のサッカーは屈してしまった・・・
この時期に前監督の本音に耳を傾けるのも良い時期と思い本書を手にとった。
ジーコは戦術を細かく授けるのではなく、
選手がイニチアシブを持って選手同士で答えを出し
チームとして戦って欲しかったようだ。
それでなくてはワールドカップ本戦で勝ち抜く事は出来ないと彼は確信していたから。
しかし現実は、相手を逆撫でする言動でプレーに指示をだす、孤高の王様と
コンディション調整に失敗した日本のファンタジスタ。
守備組と攻撃組の対立と
試合出場がなく腐った控え組。
それらをまとめあげられない不運な
キャプテンでチームはばらばらだった。
ジーコはそれを知りつつも選手同士で解決すると最後まで信じていた。
ジーコは日本代表で
ブラジルをやりたかったのだろう。
でもやはり日本人は
ブラジルにはなれない。
あのゴールデンエイジですら…こんなに不幸なことはない。
ジーコ監督の就任は日本には早すぎた選択だったのだろう。
ジーコはトルコのクラブチームで監督を受諾。その年に優勝した。
ジーコに監督の能力がないとは思えない。
世界的に有名でサッカー史にも名前を残すジーコですが、そのジーコの自伝です!本人が書いていますので、本人ならではのいろいろな悩み・苦悩も書かれています。数々の栄光の陰に多大なる努力があったことを教えてくれる一冊だと思います。読み終わった時、「ホッ!」と心温まる感動をしました。
ジーコがフラメンゴでデビューをした日から日本代表監督でワールドカップ出場を決めた日までが収められています。ジーコ本人のインタビューで綴られてゆく構成がされていて、世界最高のプレーヤーのメンタリティーが伝わってきます。ジーコが日本人選手に植え付けようとしているのはこのメンタリティーなのだな、ということがよくわかりました。フラメンゴの選手として来日し、
トヨタカップでリバプールを圧倒したときその凄さに震撼した記憶がありますが、ジーコはこの時日本のファンの反応が記憶に残っているようでした。レベルの高いサッカーを見たことがなかったので変なところで拍手が起きる、と言っています。伝説的なフリーキックの映像と練習風景もちらっと映し出されます。そして、史上最強のチームと言われながら敗れ去ったワールドカップ。史上最強チームでも勝てないのがワールドカップ。セリエAウディネーゼ移籍で巻き起こった大騒動。それにしてもよくこれだけの人物が日本に来てくれたものだと改めて思いました。
ブラジルでは下手なプレーヤーのことを日本人選手と呼んでいたそうです。でも、今はそんなこと誰も言わない。レベルはアジアでトップだ。不足しているのは勝利へのメンタリティーなんだ。ヨーロッパに行って、アフリカの選手が活躍できて日本人選手が試合に出られないのはそこに問題がある、と代表監督として日本のサッカーへの提言で締めくくられています。ジーコのサッカーへの思いが伝わってくる作品でした。ジーコ・ジャパンを応援してきた方にお勧めできます。