新本格もどきの続編。前作の終章からストーリーが展開される。今回の続編としてドクターオーガという全編を通しての悪役を登場させているのが前作と異なる点だが、はっきり言ってこの試みは失敗していると言わざるを得ない。元となった作品のもどきに本作でのトリックという要素に加えて、全編に渡る悪役を捜索する要素と、この種のパスティーシュものとしては明らかにネタを詰め込み過ぎで、どっちつかずの印象。変に全編で話を繋ぎ合せるようなことはせず、1編独立したもどき短編構成にした方が絶対面白かったはず。 さすがに各編はかなりの短いエピソードなのだが、2.3非常に優れたトリックもある。ただ短編だけにあまり話を掘り下げられないため、ストーリーとしての面白さまで昇華できていないのが惜しい。
小説としてのできはちょっとアレですが、トリックと論理展開が良くできているので、かなり甘い採点になっています。
ノベルスで読んだとき、導入部分の学園ラブコメに辟易したのを思い出しました。再読してもやっぱりつらいものがあります(学園シリーズみたいに開き直っていればともかく)。それとも駒大推理研というのはこんな雰囲気だったのか(まさかね…)これって損しているよな〜そこを我慢して読んで行くと、なかなか良くできた論理の応酬とバブル残照時代的大トリックが楽しめるのに。
もっとも、現在の目で見ると、もってまわった記述が多くて、読みにくい感じが否めません(当時は確かにそういったスタイルが流行っていたけど)。事件の真相自体は比較的単純なので、登場人物を整理して小説の規模を少し小さくすればもっと読みやすい、推理とトリックを楽しみやすい作品になったでしょう。
#こういった点をうまく処理しているのが石崎幸二さんでしょう。事件の舞台や人物の造形を単純化して、ソリッドに記述していくため、少なくとも「わけわか」という評価だけは下されない。
とても良かったです。これからも期待してます この作者はいつも楽しみにしています。
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