全部で15作品ある。全体的に、印象に残ったのは風景描写が細やか、淡々と流れる日々、オチ無し。。。
ただ、『補給係』『四月』『熱帯の蝶』『すべて処分すべし』は素晴らしい。
この4作品を読むためだけに、この本を買う価値はある(好みが合えば…)と思う。
『補給係』は、狙撃兵が生まれて初めて人を殺すまでの過程を描いた作品。
標的に正確に命中さすための、具体的な銃器取り扱い描写が詳細で、大変勉強になった(使うことないけど)。
主人公は、淡々と忠実に任務を遂行するのだが、復員後、繰り返し見る夢の中での描写に救いが見える。
『四月』は、精神病患者の少女(17歳)の話。
農場でわりと自由な共同生活をしている。
他人と心が通じ合えたと思った後の幻滅。
少女の哀しみが痛いほど伝わってくる。
が、淡々とした描写のせいか、不思議と読後は爽やか。
『熱帯の蝶』は、祖父譲りの蝶のコレクションを持つ
外科医の夫婦の話。
蝶を求める祖父のジャングルでの冒険談を挟みながら進んでいく。
他人との精神的に親密な繋がりをあえて避けている主人公に、妙に感情移入してしまった。
『すべて処分すべし』は、町に溶け込めないでいる母子の話。
13歳の一人息子(“天使のように美しい少年”)は、虚言癖に化粧の趣味まである。
雨の中、息子を置き去りにする事を一瞬でも思った母と息子との会話が美しい。
中学の時、プライベートアイズを聴いて以来のファンです。このDVDでは、'00年以降の彼らのスタイルを知ることが出来ると思います。他のレビューにもありますが、
ダリルも年を重ね、'80年代とは違った感じになっています。外見は髭を蓄えて、でっかくなっていますし、声も太く、割れ気味になったと思います。しかし、座って歌うようになってから、勢いで押しまくっていた若い時よりもボーカルや演奏の表現に緩急があり、発声方法が変わった?歌い方になっていて、高音など今の方がパワフルに感じます。よりアコースティックになった今のスタイルは好みが分かれると思いますが、あまり格好にこだわる事無く、赤ら顔でニコニコしながら歌う
ダリルおっさんを見ていると、こちらも楽しい気持ちになります。そんな1枚です。
これは彼らの、ソウル・ミュージックをルーツとする部分に対するある種の総括なのでしょう。ソウルの殿堂といわれた
ニューヨークのアポロ劇場でのライブ。ゲストは彼らがフィラデルフィアでの無名時代の憧れ、テンプテーションズ(
ダリルは彼らのマネッココーラスグループで、前座をしていた)の主要メンバー、エディ・ケンドリックスとデヴィッド・ラフィン。なんと彼らと共にテンプスの名曲メドレーを!「マイ・ガール」「ザ・ウェイ・ユー・ドゥー・ザ・シング・ユー・ドゥー」など。振りまで入って二人はノリノリ!
そして、テンプホール&オーツの締めくくりは「エヴリタイム・ユー・ゴー・アウェイ」当時この曲はイギリスのポール・ヤングが軽くリメイクして大ヒットしており、これが相当悔しかったらしく、「こっちがオリジナルー!」としつこくいいながら唄いだすのだが、これが出色。最高のコーラスを背負って、跳ね回る
ダリルのアドリブ。本当にこれが、「Voices」アルバムに収録されていたあの曲なのか!これこそがまさにこの曲の本来あるべき姿だった。最高の出来。
その後は第2部(ゲストはバイバイ)ソウルの名曲「僕のベイビーに何か?」を二人で熱唱。そしてオリジナルのヒットへと、彼らがビッグ・バン・ブームを出して色々な賞を受賞し尽くし、頂点を極めた1985年のライブアルバムは、まさにきらめき。ビデオしかないのがぐやぢーい DVD化希望!