アメリカの銃問題を体当たりで取材し製作したドキュメンタリー映画。この作品で最も興味深いのは
カナダはアメリカと同じ銃社会にもかかわらず銃による殺人事件はアメリカより圧倒的に少ないというところだ。本作品でも様々に議論されているが、どれも腑に落ちない。アメリカ人が攻撃的だから?好戦的だから?アメリカの歴史が暴力的だから?アメリカは流血の歴史が深いから?ご都合主義の極致ともいうべき自己正当化理論がチャールトン・ヘストンをはじめ銃規制反対派から提示されるがどれも説得力に欠けている。銃を持つこと自体、過剰な自己防衛としか思えない。マイケル・ムーア監督の記録映画としては派手すぎる展開が心地よく、観客が興味を持てる配慮がいたるところにしてあるのが良い。ドキュメンタリーとしては完成度が高い作品だ。
見てよかったと思う作品だった。自分の中で考えても仕方ない、と考えるのをあきらめた部分を取り上げた作品だったように思う。
ただ残念なのは面白おかしく作られたフィクションなら思い切り笑えるのに、冗談だといいたくなるような、ばかばかしい現実が舞台だっていうことだ。
「殺人事件を犯した少年たちが事件直前まで
ボーリングをやっていたのに、その
ボーリングが犯罪にかかわっているとみなされないのはなぜだろう?」
強烈な皮肉だ。
銃の規制問題を主軸におきながらも、関連して、報道や政治の問題について次々ととりあげているので、無知な私は圧倒されるばかり。
高校生にも見せたいと思った。きっと私と似たり寄ったりの生活をしているんだから、自分の常識を疑うってこともたまには必要かもね。