佐々部清は、オーソドックスながら、今日の日本映画界で、キチンとしたドラマツルギーで映画が撮れる希有な監督である。そして、感動＝泣かせ処のツボを熟知している職人でもある。「陽はまた昇る」でも「半落ち」でも、私はしっかりその術中にはまってしまったが、今作でも、その演出力は、容赦なく、観る者の涙腺を刺激する。古くは、大林宣彦の傑作「転校生」、最近でも、東野圭吾の「秘密」や、「今、会いにいきます」を始め、この種の切ない恋愛映画には、科学的にはあり得ない状況（ここでは、身体と精神の入れ替わり）が、数多く登場するが、人里離れた海沿いの脳障害施設と礼拝堂という環境、物語のキーマンである、知能障害ながら、天才的な才能を持つ“しおり”の存在が、映画的リアリティを持たせる事に成功している。これは、各々の過去を引きずりながら、傷つき、苦悩してきた男女が、“ある出来事”を境に、人を慈しみ、愛する事や、自分たちが生きている“意味”と“価値”を再認識し、自己を復権させるドラマだ。いわゆる、“号泣”映画であるが、決して感傷的なモノだけではなく、魂を揺さぶられるような作品、といったら褒めすぎだろうか。鑑賞後の清らかさは、心が、少しばかり洗われた気がする。
ずっと欲しかったのと、大好きなドラマなので
頑張って買いました。いつか子供と一緒に観たい
と思います。
特典映像の30周年トークショーもたっぷり収録
されており、また倉本先生の貴重な話も観れて
納得の内容です。
前作と続編を合わせて購入できるお得なパッケージです。２作とも素直に涙できる秀逸な作品ですので、お薦めです。
この作品は、ひとつ屋根の下に住まう家族には、血の繋がりの有無があっても、同じ家族愛に支えられている事を、心温まるあり方で表現しています。
また、せちがらい今に生きる我々が過去を振り返る「見る人の切なさ」と、戦争から立ち直り、未来を生き抜く力に溢れている「登場人物の希望」がうまく交差します。
たぶんこの感情が、恥ずかしいくらい素直に流せた涙の源流でしょう。
作品の時代に生きたかどうかは関係なく、誰もがいつでも何度でも、この２つの作品を見れば素直な自分に帰れるはずです。
手塚治虫氏の作品『ブッダ』の映画化。
原作を少し変えて、王子に生まれたシッダールタがブッダになるまでを
奴隷に生まれたチャプラの悲哀と対比させながら描いています。
この作品をアニメ映画として見るならば、すべての役をプロの声優さんが
演じた方がおさまりがよかったかもしれません。
しかし、登場人物の微妙な感情表現に重きをおいた作品にするなら
声優として訓練された声で表現するより
声に感情を乗せてセリフを発する俳優さんが声優をやることにより
単なるアニメ映画ではなく、日本映画になっていると思います。
特に、シッダールタ役の吉岡さんは大人の男性がやるのは難しい１５歳の少年から
青年までを微妙に声を変化させていたので「さすが」と思いました。
堺さん、吉永さんも実力通りです。
本作は三部作中の第一部。
『ブッダ』は描ききれていないので、星４つにします。
大ヒットすると続編が製作される、というのは今や当たり前になってしまい、シリーズ化が進むとともに質が低下してゆくというのもよくあることだが、こと本シリーズにおいては全くそれに該当しない。２作目、３作目と続いても１作目の感動と遜色ない出来で、日本人の琴線に触れる秀逸のシリーズである。
記憶に新しい震災による原発問題などで大量消費社会を見直そうという風潮が少なからずあり、貧しくとも精神的豊かさに溢れていたこの昭和３０年代の頃の生活が意識されだしているのも本作をみればわからないでもなく（実際に現代人がこの当時の生活に満足できるのかは甚だ疑問ではあるが）、憧憬の念を刺激される。
今回は一平や淳之介などの子供たちも成長し六ちゃんの結婚に至れば虚構の中とは言え、本シリーズを観てきた者としてははや幾年と感慨深げになる。この当時から最早半世紀が過ぎようとしている現在であるからこそ懐かしいと思えるのではないだろうか（と言いつつも私が生まれるよりも大分前のことで、知らない時代ではあるが）。あまりにも遠い過去になる前の今こそ、観るべき作品であると思う。
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