モノづくり(製造業)に長年関わってきた人間から見ても、極めて共感する部分の多い本です。 特にこれからの時代に、非常に気づきの多い内容であった。 会社の看板で仕事する時代ではなくなってきている実感がある。
【覚え】 五味一男 ・何も知らないという立場で仕事に取り掛かり、徹底的に研究する。 ・聴き上手 ・自分が面白いと思うことではダメ。 ・まずはヒットを出すこと。
佐藤可士和 ・答えはいつも相手の中にある。 ・クリエイティブなことを理解したうえで、アウトプットをコントロールできる。 ・10言って3伝われば御の字。
亀山千広 ・管理者として統括する場合は、自分が全てを理解している必要は無い。 ・そのジャンルが得意な人を連れてくれば、自ずと人脈もついてくる。 ・わからないからやらないのではなく、わかってる人に任せればいい。 ・クリエーターの「作品」を、いかに「商品」化するか。 ・プロデューサーの仕事って、才能ある人に「企画のタネ」をささやいて作らせる。しかもクレームまでつける。 ・自分に制約を課すことが、内なる闘争心に火をつける。 ・プロデューサーの資質は「オタクころがし」→「バランス感覚を備えたオタク」
はたけ
石原恒和
森昌行 ・「プロデュースって何ですか?」=ビジネスサイドとクリエイティブサイドのブリッジ→「環境づくり」 ・世界に通用する日本のコンテンツも結局は手づくりなんです。
福原秀己
石川光久 ・海外では、会社の看板より個人の信用が重視される。 ・売込むべきは個人の資質。 ・苦労して積んだ経験は"技術"になる。 ・相手を動かすのは小手先の交渉力ではない。 ・エージェント業では個人の力量がものをいう。 ・実際にモノをつくっている中小企業の人間が交渉するというのも強み。 ・周囲の人間をバカだと見下すようなやつは、プロデューサーとして失格。
李鳳宇 ・クリエイティブとビジネスのバランスをとる。 ・人と違った視点を持つことが発想の幅を広げる。 ・プロデューサーには「才能を見つけ出す才能」が必要。 ・プロデューサーには、企画を成立させる責任と、資金を回収する責任がある。 ・「マーケティングか、クリエイティブか」で迷う局面で、クリエイティブを優先させなければ、映画会社としては存続し得ない。 ・数字で企業の人を説得することが先に立ってしまうと、新しい発想はなかなか出てこない。
おわりに ・働かされるのではなく、自発的に働き、そのこと自体を楽しむこと。 ・また、楽しむための努力、創意工夫を忘れないこと。 ・スキルの体得うんぬんを案ずる前に、クリエイティブの時代に必要なのは、そういうマインドではないだろうか。
この一冊を抱えて、全国ミニシアターツアーへ出たくなる一冊。
支配人や館主の話の「記事」、館内図やキャパを書いた「シアタープロフィール」、2008〜2009年にかけた映画の「プログラム」、この三部構成。
2011年シネセゾン渋谷、シネリーブル博多閉館。シネコンすら飽和状態で、古いシネコンの閉館が相次ぐなか、踏ん張っている16のミニシアターのドラマが読める。 艱難辛苦の末たどり着いた会館、試行錯誤の経営、そして喜び。冬には暖房費がかかるため休館する秋田の映画館や、たびたびゲストをお招きして集客する映画館など、舞台裏や経営方法などそうかなるほどと唸らされて面白い。
「シネモンド」や「第七藝術劇場」、「シネマ・クレール」で映画を観てみたいと感じた。
字幕翻訳家の苦労が、実に良く、しかもユーモアたっぷりに、書かれています。
これを読むと、これからは「誤訳」ではとか、「意訳」が酷すぎるとか言えなくなります。
「一秒=四文字」という制約の下での翻訳は、考えただけでも大変そうです。おまけに、見る側の「言葉の貧困」があっては大変です。更に輪をかけての配給会社の商業主義があります。
自分の思い通りに訳させてもらえないストレスは大変でしょう。
字幕映画が好きで良く見るのですが、その字幕の裏側を見せられると、なるほどと思えることが沢山あります。「誤訳」ではと感じるケースは、ハリウッドの大作映画に多いのですが、時間がないということなのでしょうか。原語のタイトルが多くなったのもそのせいだと聞いていますが、禁止用語を使わないためというケースもあるのでしょうか。
それと、教養の問題は確かに難しい問題だと思います。一番それを感じるのは、欧米のキリスト教を扱った映画で、日本人では理解できないのでは思う作品もあります。
いろいろ問題はありますが、是非頑張ってもらって、字幕映画の灯を消さないで欲しいなと思います。
映画ジャーナリストの斉藤守彦さんによる「映画料金の変遷史」のような内容でした。
第1章で書かれているように「1800円は、他の娯楽と比べても高すぎます」というのが一般的な意見だと集約しています。この意見は映画の内容によるという前提ですが、平均入場料金が1214円ということで、そのあたりの値段が妥当だとすると本書のタイトルに行き当たります。
「製作」が投下した資金を「配給」「興行」が同じ財布に入れてしまうのが問題だ、と指摘しています。「映画と言う商品は確たる卸価格が存在せず、市場状況や興行環境あるいは配給、興行、どちらかの意向によって、この卸価格が変動するケースもある」と書かれています。いわばどんぶり勘定が今も生きている業界だということでした。
シネコン全盛ですが、人件費やテナント料はシネコン経営者にとって重要な問題であるのは当然として、後日レンタルで安く借りられるのに高い正規料金で見せる現在のシステムは果たして良いのかは、筆者だけでなく映画ファン共通の認識でしょう。
映画館の経営論としても面白いでしょうし、映画産業の流通過程の問題の指摘だと捉えてもよいでしょう。
映画全盛だった1960年前後から1970年代にかけて、映画人口の減少を料金値上げという形で補ってきたことを丹念に追い求めています。その年のスクリーン数と入場者数、窓口入場料金、平均入場料金、1館あたりの興行収入の割合の変化がそれを物語っていました。
映画料金がカルテルで決められているような具体例も披露してあります。映画ジャーナリストとしての良心とそこで仕事をする限界とが垣間見られる記述部分でした。
何気ない散歩道で、出会ったねずみ達の世界に2人がどんどん引き込まれていく様子は読んでいる私も同じでした。 −大きな鍵で開ける扉の向こうには、何があるのかなぁ??− 大人の私もワクワクしながら、どんどんページをめくりました。
とても柔らかな色彩で描かれている友情や冒険が、読み終わった後にほんわか心を温めてくれます。 お子様だけでなく、大人の方にもおすすめの作品です。
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