相変わらず 細かいネタを自然に仕込んでいるので、一回読むより 何回か読み直したときのほうが面白いですねー。
例えば、クリーニングの荒井さんの奥さんは増代さんなんですが、(アライマスヨ=洗いますよ)旧姓が 柴木 なんです。気づいたときは思わず 吹きました。
ホント 一瞬しか登場しない人たちも個性があって何回読んでも楽しい。メグッピは再登場するんじゃないかと予想していましたが、やっぱり出てきましたね。使い捨てするには 惜しい濃いキャラですもんね。
漫画家ですね。石黒さんは。
正になるべくしてなったという感じ。じゃないとあのヒーローは描けない。
このヒーロー大好きです。
漫画を読んでいる感じではなく作者の感情をひしひしと感じるという感覚がある。
カウントダウンも自分がどの世界にいるのかあやふやになる感覚がいい。
とにもかくにもすごい才能。
この方は発想の時点からネジが外れててとてもいい。
どう読まれるかという冷静さと抑えきれない反骨精神、熱さ。
これがどれにも同居しているもんだからたまらない。大好きだ。
なげなわチャージは石黒さんしか描けません。惚れちゃう。
『それでも町は廻っている』で人気の石黒正数の1巻完結の新作です。
本作は音楽に夢をおいかけるセンパイとそれをまぶしくながめるちょっと抜けたコウハイという、寮で同室の2人の女子大生を主人公にすえた青春モノです。
「大学生」の自由でふわふわしているけど、何者でもない/何をしたらよいかわからない毎日の中にある焦燥を実にあざやかに切りとっています。
そういう点でやさしく、なつかしい空気にあふれる代表作『それ町』とはだいぶ雰囲気がちがうのですが、大学時代を描く物語としては正当なアプローチだと思います。
それでいてシリアス一辺倒の作品ではありません。
地面からほんの少し浮いた感性というか、プロット、エピソード、セリフ、キャラクターなど作品のすみずみまで石黒節としかいいようのない、他に似たもののないセンスがあってそれがとても面白いです。
作画面でもわりと実験的な技法が多い人だと思うのですが、シンプルでまるみのある絵柄のおかげかあまりとんがった印象は受けません。
なんてことのない日常の大切さと、なんでもないがゆえに生まれる不安。
笑っちゃうような情けなさと、泣きたくなるような切実さ。
音楽をあつかうという共通点もあって「グミ・チョコレート・パイン」「ロッキン・ホース・バレリーナ」など大槻ケンヂの青春小説をちょっと思い出させます。
石黒正数は普遍的な主題を、突拍子もない奇妙な作劇と演出で、しかし親しみやすく描くという矛盾にみちた才能と魅力をもっています。
そのワンアンドオンリーな作風で、今もっとも新作が読みたいマンガ家の一人です。
今巻も楽しませていただきました。いやぁ・・ほんとに面白い!
どの話もよくできてるなぁ・・と思いました。エビちゃんやっぱり可愛いなぁー(笑)
親の喜ぶ会社という判断基準での会社選び、「仕事による自己実現」を目指した会社選びを諌め、大企業と比較した中小企業の魅力など、就活に参考になるであろう話が多い。また、今の社会が「自己実現」に失敗した人に「消費による自己実現」を迫っているとする指摘や、後でやろうと思えばできることを無理やりやらせて、今しかできないことをやらせないという幼児教育の問題点など、就活に直接関係のない人にとって考えさせられる記述が多い。
ただ、原発やエネルギー政策の持論の展開は、就活というタイトルを見てこの本を手にした読者としては違和感がある。また、日本の企業は、グローバル競争にさらされて利潤率が低下し、会社の寿命も短くなっているというのが著者の見立てであるが、一方でこのような環境でも日本の輸出は堅調で、旧態依然とした経営を行って業績好調な企業も数多く存在する。実際にビジネスの現場にいて多くの企業やビジネス・パーソンと関わっている人の立場からすると、一面的な経済・社会の理解だけでここまで断定的に就活や企業を論じるのには無理を感じるのではないだろうか。
あとがきにあるように、就活で苦戦している学生がこの本を読んだところで直ちに解決策が手に入るわけではない。著者の昔話などは、伝統的な日本の会社ではなくて外資系の金融のようなところに就職して大成功した人の自慢話になんとなく似ていなくもない。しかし、あまりにも氾濫している就活マニュアル本を見るにつけ、学生を一歩下がって考えさせるには良い本かもしれない。
著者の企業社会の観察には偏りを感じるが、一方で、昔以上に学歴至上主義になっている親もたくさんいる。むしろ、そろそろ中学受験の準備が始まる小学校高学年のそのような母親に読ませたい本である。
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