「70年代パンクとドラッグ」、この二つの言葉がペアになっただけでアレルギーを起こしてしまう人は沢山いるかもしれない。狂気と混乱、無謀、孤独が転げ回っているだけ、と決めかかって読み出すのはあながち間違いとも言えないが、少し読み進むとすぐにそれが間違いなのだと気づかせられる。やることは目茶苦茶な主人公だが、狂気と甘えの境目に確かに存在する「正気」が確かにあって、それがストーリーを一本に繋いでいく。読んでいる途中、ビム・ベンダースのロード・ムービーが何度も思い出された。この本は言葉で語られているにもかかわらず、鮮明で強烈な映像を読み手の脳裏に強烈に描き出すのだ。一般に(と書いては語弊があるかもしれないが)こういう本はテーマや語り口ゆえに、翻訳された途端に原文の持つテイストを損ねがちであるが、思い切った言葉の選択、かつそれが的確であるところが、「翻訳された」という間接性を感じさせない。ストーリーは意外なところで終わりとなった感があるが(あくまで私見)、これは著者であるリチャード・ヘルの、詩人またはミュージシャンとしての過去背景を考えると納得がいってしまった。
2012年リリース。ジョン・ライドンのP.I.Lやギャング・オブ・フォー、キリング・ジョーク等と共にポスト・パンクを代表するブリストルの伝説的バンド=ザ・ポップ・グループの元メンバーで、解散後も精力的な活動を続けるマーク・スチュワートがジ・オーブやザ・ヴァーヴ等を手がけるユース(キリング・ジョーク)との共同プロデュースという形で作り上げた約4年ぶりのスタジオ作にして、彼のソロ・キャリア史上最狂傑作と呼べる7作目。プライマル・スクリームやリチャード・ヘル、ダディG(マッシヴ・アタック)、リー・スクラッチ・ペリー、テッサ・ポリット(スリッツ)、ジナ・バーチ(レインコーツ)、キース・レヴィン(P.I.L)、ダグラス・ハート(ジーザス&メリー・チェイン)等、錚々たるゲストが参加。さらに国内盤には、デヴィッド・チベット(カレント93)との【12】、イヴ・リヴァティーン(クラス)とダン・カトゥシス(ザ・ポップ・グループなど)との【13】も収録。
物語のはじまりはタフで重く、中盤、痛々しく、最後は優しい気持ちになる映画です。
"多数の豪華出演者が集結!"リチャード・ヘル、ジョニー・サンダース、ジェリー・ノーラン、ディー・ディー・ラモーン、グレゴリー・コーソ他には間違いはないのですが、そんなに露出度は期待しないほうがいいかもしれません。しかし、PunkとBeat好きにはお薦めです。
「70年代パンクとドラッグ」、この二つの言葉がペアになっただけでアレルギーを起こしてしまう人は沢山いるかもしれない。狂気と混乱、無謀、孤独が転げ回っているだけ、と決めかかって読み出すのはあながち間違いとも言えないが、少し読み進むとすぐにそれが間違いなのだと気づかせられる。やることは目茶苦茶な主人公だが、狂気と甘えの境目に確かに存在する「正気」が確かにあって、それがストーリーを一本に繋いでいく。読んでいる途中、ビム・ベンダースのロード・ムービーが何度も思い出された。この本は言葉で語られているにもかかわらず、鮮明で強烈な映像を読み手の脳裏に強烈に描き出すのだ。一般に(と書いては語弊があるかもしれないが)こういう本はテーマや語り口ゆえに、翻訳された途端に原文の持つテイストを損ねがちであるが、思い切った言葉の選択、かつそれが的確であるところが、「翻訳された」という間接性を感じさせない。ストーリーは意外なところで終わりとなった感があるが(あくまで私見)、これは著者であるリチャード・ヘルの、詩人またはミュージシャンとしての過去背景を考えると納得がいってしまった。
異色の映画人、アレックス・コックス監督による現代版マカロニウェスタン。お行儀の良いところのまったくない徹底的に荒唐無稽な内容が、いっそすがすがしい。
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