白洲次郎を題材にした本を十数冊読みましたが、色んな意味でこの本が一番良かったです。最高!
NHKドラマで放映された「神様の女房」の原作本の後ろで目立たぬ本があった。よく見ると表紙の松下幸之助の表情が実によい。思わず手にとってみた。
「その松は、赤茶けた鉄骨に支えられながら、かろうじて巨木であった記憶を今に留めていた。」この最初のくだりが気に入った。字体が大きく読みやすい。話はテンポよく進み心地よく、情があって、胸にじんとくる。あっという間に読み終えてしまった。
書名は「子供に語りたくなる偉人伝松下幸之助」になっている。確かにここに書かれた人物の伝記は、頭の中できちんと整理され、記憶に残るから、それをすぐに子供に語れば、著者の意図に合致するのかもしれない。
ところどころ引用される幸之助自身の言葉が若干多い気もするが、彼の人生の中から生み出された教訓だとわかれば深みを増す。
次は誰を書くのだろう。この本の中にちらりと出たシャープの早川徳次、ソニーの江崎玲於奈あたりを読んでみたい気がする。
善次郎は幼い頃、父善悦から繰り返し薫陶を受けた。「奢りをきわめ欲望をほしいままにするのは
禽獣の生活と変わるところはない。限りない欲望を抑えて暮らしてこそ真の楽しみがあるのであり、
これを味わう生活でなければ人間と生まれて恥である」この父親あってこそ安田善次郎という人間
が生まれてきたのであろう。
銀行マンは縁の下の力持ちであることに誇りを持つべきと北氏はいう。本当は人一倍情が深いのだ
が、商売を続けていくうちに、時には非情であることも必要なのだと悟った人間こそが、商売人と
して大成する。
安田善次郎ほどの人物でも善三郎への禅定には失敗している。良く聞く話ではあるが、二代目の側
近と子飼いの古参社員との間に大きな溝ができる。やがては後継者として選んだ善三郎と絶縁状態
となってしまうのは残念なことであった。後藤新平と夢見た東京の都市改造計画は何ともスケール
の大きなものだった。朝日平吾の凶刃に倒れたのは悔やまれる。「小鳥ども笑わば笑えわれはまた
世の憂きことを聞かぬみみずく」残された言葉に善次郎の心境を慮る。丈夫は棺を蓋いて事はじめ
て定まるものである。
幕末~明治におとらない、現代日本史上最大の変革期を圧倒的な情報量、資料に基づきかいまみせてくれる。
例え敗戦国であっても、将来の復興の為に、アメリカのいいなりにならないよう必死に抵抗しながら、ぎりぎりのところで妥協点を見いだして行く外交姿勢は、今の日本にはもう期待できないのだろうか。。。
たろうや、はとぽっぽの爺ちゃんたちの時代。そんな昔の話ではないのだが。。
要約版であるが、なかなかの評伝。 やはり、明治の人たちは、初めは「金儲け」、「立身出世」であっただろうが その後、目覚め、世のため人のため働くようになってきた様子が手に取るように わかり。今の企業家の人たちとの違いを感じる。 北康利さんの文章には、リズムがあり、非常に読みやすく、理解しやすい。 やはり、起業し、雇用を生み、役に立つ商品、サービスを提供する。 この事には、非常に大切な=役立ちがあると感じた。
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