二人の相性がすごい。「夫の家族が嫌いなんですが」とか、「生活費どうしてますか」とか、普通の読者の質問にそれぞれが勝手に答えているエッセイ&漫画なのだけれど、全く違うアプローチなのに着地点が同じだったりとか、真逆だったりとか。「ああ、結婚に完全な答えってないんだな」とも感じさせられるけど、とにかく私は救われる言葉を大量に拾うことができてなんだか救われたー!
「結婚ってどうやってするの?」という40代男性の質問に答えた山本文緒、「結婚も、運動と同じで結婚神経があると思えばどうでしょう?」。
「子どもがほしいが今の生活を変えたくない」という30代女性の質問に答えた伊藤理佐、「しかし子どもがいなかったら今の生活は変わらないのでしょうか?」。
いやー、しびれましたね。私、結婚神経がないだけなんだって思えたし(笑・半分自虐)。
でも諦めませんけど・・・。
あと伊藤理佐がぐるぐるループを描いた「たまにはこの矢印をふりかえってみませんか?」
には完全に「そうですね、その通りですね」と笑っちゃうくらい楽になっちゃいましたよ。
『おいピータン』『眠れるラプンツェル』等々二人の作品はたまたま結構読んでいてかなり好きなほうだとは思っていましたが、ちょっとはまったかも。山本文緒の原稿に時々入ってくる伊藤理佐のイラストも面白い。マイケルジャクソン、最高!
続編も是非作って欲しい〜。
なんだか楽しくないなーとか、家庭が嫌だなーとか、彼や彼女とうまく行ってないなーなどという人も笑ってすっきりできるしおススメです!
私は弱っていた時に読んで救われました。友人にも勧めまくってます。
闘病日記であっり、前半は重苦しい感じがあり、後半は 回復に向かっており、前向きさが伝わってきました。 後半でうつ病の原因は肉体からかも?と胆石手術のところで 語ってますが、解説の医師は実際は仕事上のトラブルでは? とはっきりした原因がわからないのが鬱病かなと納得してます。 また周囲の方のご苦労も大変なものであると文面から感じます。 筆者の魅力はエッセイより、やはり小説です!
山本文緒さんの本は大好きで、本屋でこれを発見して、ソッコー買いました!!寄田みゆきさんの絵も、かわいくて大好きですvv小説を漫画にするのは難しいと思うし、チョット違うのもありましたが(笑)、本当、よかったです。ちなみに、「ニワトリ」と「百年の恋」が好きですvv山本文緒さん、寄田みゆきさんが好きな方も、そうでない方も、それから子供だけでなくても、大人の方にもオススメしますv
山本文緒の物語の醍醐味を、この1冊でたっぷり味わうことができます。 短編集に描かれた人物や背景は、けっして特別なものではなく みんな私たちが日常で目にしたり、体験したりするものばかり。 だからこそ、最初の1行からすっと心に入ってくるのかもしれません。 誰もがふとしたことで抱いてしまう弱い気持ちや、負の部分。 読んでいると、鏡をつきつけられているような気分になります。 自分について考えさせられる、そして読んだ後はスッキリとした 気分になれる本です。
これは傑作。
身を削って書くタイプの作家はいろいろいるが、山本文緒は、「削り度」が最も高く、その代表選手と言える。
この作品では、主人公が次に何をやらかすか、どんな重大な隠し事をしているか、がキモである。一人称で語りながらこれをやるというのは、犯人が主人公の推理小説と同じであるから、その腕が問われる代わりに、読者の驚きも大きくなるので、効果抜群である。
まだ駆け出しといっていいこのころの山本が、これを仕上げたのは驚嘆する。
島崎今日子のインタビューにあった、高校時代に女の子を殴ったことがある、という事実から、「やっぱり身を削っていた」と再確認した。
「恋愛中毒」でその場面を読んだときには、「体験か?想像か?」と半信半疑だったが。
ということは、これに限らず他の場面や作品においても、「体験」が形を変え、散りばめられているということだ。そういう意味では身を削った鷺沢萌や昔の林真理子よりもフィクション性が低く、実体験が生かされていると思われる作家である。
この主人公についても、山本の分身度が高いと思われるのだが、その特徴はなにより「突然キレる」である。普通に話していたかと思うと、凶暴な行動に出る。
これが山本の腕にかかると、より話が面白くなるわけだが、「突然キレる」の理由は「不器用だから」である。
「不器用」とは「交渉ができない」である。
おそらく著者本人の特徴でもあるのだろうが、他人に直接要求したり、交換条件を出したり、押したり引いたりコネを使ったりという、ネゴシエイト能力がゼロなのである。
「要求する」という行為が「正当な権利」と思えないところから、こうなる。それで、鬱屈がたまって突然キレる。
もともと「我慢に弱い」タイプの「キレる奴」なのではない。
ネゴシエイト能力の欠如は自己評価の低さによる。
そうした己の眼をそむけたい部分を逆手にとって、傑作を書いた山本は大した女だ。
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