読んでいくにつれてどんどん引き込まれていきました。 〈高楼館〉という建物に関連した話が多く収録されています。この本のメインといえる話です。 紅岩魚という話は「ただの偶然では?」と思ってしまいましたが、なんだか惹かれる話でした。 あとは『病院繋がり』、そして特に『紅い傘の男』が面白いです。
全四巻に及ぶ歴史大長編もこれで終わる。前巻で義経が死に、そのあとを受け継いだ彼の影武者、沙棗がどのように生きていくか、そして奥州藤原氏がどのように滅びていくか、読み応えのある第4巻だった。
今巻の主人公は、沙棗というよりは、奥州のため、民のために自ら滅びていこうとする奥州藤原氏の面々。もちろん、これが史実だとは思ってはいないけれど、中央に抗い、生きていこうとする彼らの生き様、死に様には心を打たれた。
とても面白い大長編小説だったけど、読み終えてしまうのが残念だった。まだまだこの物語を続けて欲しかった気がする。例えば、北海道へ渡った彼らのその後、そして義経の影武者、沙棗のその後、などなど、まだ、読ませる題材はあったと思う。
でも、ここで物語を終えることが良かったのかもしれない。彼らのその後については、読者の想像に委ねることが、かえってこの物語を豊かなものにし、余韻を楽しめるようにしている気もする。
SF作品『エリ・エリ』で有名な作者ですが
新聞連載の時代小説が単行本(文庫)として刊行されました。
まったく新しい義経像が描かれているため賛否がわかれるかもしれませんが
ハマれば楽しく読める作品です。
本作が時代小説デビュー作になりますが
作者自身、今後も時代小説を続けていくとの話を聞きましたので
そのスタートがここということになりそうです。
前巻と同じく、この本にも、あの震災に纏わる怪談が多数、掲載されています。被災地でボランティア活動をした人の話、被災地で取材活動をしたマスコミ関係者の話など、話者は話によって異なりますが、そのどれもが怖いものでなく、むしろ悲しみと哀しみ、または親しみに満ちており、被災地の映像を観ただけでは解らない「感情」が直に伝わってくるのです。 怪談でないと伝わらないモノがある。怪談だからこそ伝わるモノがある。改めて認識しました。
第四弾です。
前巻と構成がやや異なり,二部構成になりました。
第一部は,複数の体験者の単発の話から成っており,第二部は,少数の体験者の複数体験話から成っています(体験する人は,「これでもか」というくらいに体験するもののようです)。
第二部では,体験者ごとの「パターン」がかいま見えて興味深いです。また,複数話を載せることにより,体験者の生の感覚がより伝わりやすくなっていると思います。
最後の「怪奇座談会」も,意外とおすすめです。
「見える人」「見えない人」双方が参加していますが,「見える人」の共通感覚がわかって,なかなか面白いですよ。
著者の「体験者の生の感覚を伝える」というスタンスは変わりませんが,前巻と異なる構成にするなど趣向を凝らしており,単なる続き物に終わっていないことは評価できます。
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