高知県久礼町。カツオの一本釣りで生計を立てる家が多い町。 ここに、中学卒業でいきなりカツオ船に乗り込んだ純平(16歳)と その同級生で高校生の八千代(18歳)がいた。 ふたりは幼児からの付き合いだが、互いを男と女として意識する仲。 純平は八千代の父千代亀が船頭として率いる第一福丸に乗り組む。 新入りの最初の仕事は「カシキ」つまり料理番。一本釣りの時は邪魔にならないように船尾でひそかに釣らしてもらうのだ。 純平の初航海は、船酔いでころげまわるだけで、役に立たなかった。 なぜなら、船の中で一番大切なのは生餌の「カタクチイワシ」。 イワシを船の真ん中の一番揺れない所において、人間は一番揺れる船尾か船首に のるのだった。 完全な「日本人」の八千代と純平。男は男らしく、女は女らしく、でもいざとなると強い。 そんな二人のラブストーリーと、猟師町の一体感を描いた傑作です。
貞松は、丸子が身ごもっていることを船頭に言う。 純平は貞松を投げ飛ばす。 「女を、不漁腹にさせたくない。船の者の生活もかかっている。 船頭さんは、それを両方とも背負っているんだぞ!」 貞松は、他にも船の厳しい生活にきたえられる。 陸につけた福丸に、貞松の元彼女、勝江から電話がかかってきた。 貞松を呼んでいる。 しかし、実は勝江は、不良バイク少年と恋仲になり、それを見せつけたくて 貞松を呼んだのだった。 バイクに乗った少年数人と、素手で闘う貞松。だんだん怪我をしていく。 でも、最後まで戦い抜く。 「勝江くらいのいい女なら、二股かけても当然じゃあ!」 バイク仲間たちは、「こいつの優しさに比べたら、あんたは何よ。」 といって、不良バイク少年を置き去りにしていく。 貞松と勝江は再び接近していく。 一方、八千代は自動車教習所で会った元ソフトボールの監督にキスされてしまう。 「貴方は久礼から出て、外の素晴らしさがわかるのが怖いから、おとなしいんだ。」 と言われる。 嫌で嫌で、血が出るくらい歯磨きする八千代だった。
中学卒でカツオ船に乗る貞松。それを誘引する色々な船の船頭たち。 「俺はフリーやきに。」という貞松に頭に来る純平。 でも純平がそして福丸の男達が、貞松を男にするために、ソープへ連れて行き、 貞松の福丸行きは決定。 賢い貞松は、船頭たちのおかみさんから、得意料理を教えてもらって、 船の男に料理に絶対文句を言わせないようにした。 しかし、貞松はソープへ行ったことにより、幼なじみの勝江に 「フケツよ。」と言われ、別れることになる。 福丸の上で、貞松は「兄貴、はっきり言っときます。ライバルは兄貴です。」 と言う。 福丸は不漁で、誰かが「不漁腹」を仕込んできたのかと言う。 貞松は、丸子がつわりだったのを知っていた。
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