激しいメタルコアな音に要所で絡むシンセと言う音作りは
1stの延長線上だが、今作はそのコントラストがより顕著になり
激音の中に漂う独特の[浮遊感]が更に増した。
しかし彼等を含む[LOST][Shatter Silence][Las Vegas]等
関西ゼロ世代勢は有望株が多くて未来は明るいね。
一般的にいって、ミュージシャンのPVでありがちな映像として、
「悩んでいる様子」「知的な様子」「何か考えてる様子」
の表現がある。
びゅうびゅうと風が吹くなか、ミュージシャンが頭を抱えてみたり、
顔が陰になってて、うつむいてみたり、
苦しそうな顔をしてシャウトしてみたり、
座ってじっとしてみたり。
そんなカットが、映像の狭間に、ちょっと紛れ込んだりする。
「俺達、ちゃんとやってるんだぜ」
みたいなメッセージなのかもしれないけれど、あまり効果的とは思えない。
ところが、プロディジーのPVには、そういう「悩み」がまったくない。
まさに馬鹿な映像のオンパレード。
特に初期のものは、踊って騒いで、ダチョウが走って、笑って跳ねて。
それだけ。それが、とても楽しい。
私は、深刻な状況になると、よくプロディジーのPVを観る。
悩んでるのが馬鹿馬鹿しくなる。そして、楽しくなる。
映像としてセンスがいいかと言われると、どうかと思うけれど、
プロディジーのPVとして、これは最高の作品群だ。
ライブも、とても楽しい。
欲を言えば、VHS版のクリップ集に収録されていた、彼らの日常風景の映像も入れてほしかった。それだけが残念。
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