2003年発売ということはもう10年前に発表された作品。発売された当時にこのCD-ROMをe文庫のサイトで購入したのですが10年も経って2013年になった今頃読み始めました。なぜ今頃かというとようやくこの作品を読むための端末を手に入れたからです。それは Nexus 7。
ただし実際に試してみると今のところ読めるのはPDFファイルのほうだけでした。.bookのファイルも読めるかなという期待もあって Nexus 7 を入手したのですが、今のところは無理みたい。Google play に T-Time Touch for GALAPAGOS という.bookを読むためのアプリがあったのでちょっと期待したのですが、これは GALAPAGOS STORE で購入した書籍しか読めないみたいです。
そもそもパソコンで.bookを読むための T-Time には「書き出し」という画像ファイルに変換する機能が備わっていて、各ページを画像ファイルに変換して携帯端末に入れれば写真のスライドショー表示で本のページをめくるように読めるはずなのですが、e文庫の.bookファイルはこの書き出し機能に対応していないので使えません。CD-ROMを購入した当時には携帯電話で読めないかとこれにチャレンジして挫折しました。
それ以来ずーっと、CD-ROMで入手済みの「ABDUCTION -拉致-」や「地球樹の女神」や「幻魔大戦deep」を読むための理想的な端末を探し続けていましたが、端末の機能と値段の折り合いでなかなか私の求めるものはありませんでした。そんな私がようやくたどりついたのが Nexus 7 です。
.bookは無理でしたが、PDFは問題なく読めました。Nexus 7 に Adobe Reader を入れて読んでいます。7インチのディスプレイでは文字が小さくないかと多少不安でしたが、端末の画面を横にするとちょうどいい大きさです。ちなみに「幻魔大戦deep トルテック」の非売品CD-ROMのファイルは画面を縦に使えは1ページがぴったり入ります。ただ、Android版の Adobe Reader は右へ右へとページ送りするんです。縦書きの本を読んでいるとページが逆に進んでいるような感覚なんですよね。Windows版のように縦送りだと違和感がないんですけどね。
作品の評価のほうは、とりあえず紙の本では読めない平井和正の小説が読めるんだということだけで5つ星にしてみましたが…。文句ある?
--(2013/3/21追記)-- この書き込みをしたおかげか PonPon様のレビューから Nexus 7 に Sony Readerアプリをインストールすることで .book のファイルを取り込んで読めることがわかりました。希望通りのイメージで読めるようになりました。ありがとうございます。
前巻の最後で、己が能力を開放して愛する青鹿先生を救う決心をした主人公の人狼犬神明。
単行本化を待って読んでいる作品ですが、宿敵羽黒との決着はまたもや次号以降に持ち越されそうです。
監禁され酷い仕打ちを受けた青鹿先生の様子や羽黒が犬神迎撃用に要塞化したホテルで見る邪悪な物、そして犬神が心ならずも生き物を殺めるシーン等、前号までのレイプシーン同様読んでいて辛い描写が続きます。
この巻も最初の部分と最後に少し暗雲が晴れる描写が有るのですがそろそろ読む側も疲弊して参りましたので次号辺りでの決着を望みたいのですが、かなり原作と異なる進行と設定が増え、作者が次に何を描こうとしているのかも気になります。
配下のヤクザ達が羽黒に従う理由が単なる恐怖心からでは無く、一種宗教的な熱狂を帯びている事がこれからの犬神と青鹿先生の辛い闘いを暗示して居ます。
p.s.余談ですが、後半、やたら「凶気」と言う単語が出てきますが、これは「狂気」だとなんらかのコードに引っ掛る為に作り出された造語でしょうか。
狼男が主人公のSFハードボイルド。この設定だけで、もう降参です。シリーズ全部を読む必要はないと思うけど、興味のある方は、この第1作だけでも読んでください。この一冊だけでも、空前絶後の傑作です。
『幻魔大戦』が終ってしまった。
小説版『幻魔大戦』シリーズもアダルトウルフガイシリーズも一見すると、大風呂敷を拡げるだけ拡げ、収拾つかなくなって放棄された様に思われがちである。 しかしながら、平井和正の作品を乱暴に前期後期と分けてしまうと、その訳がわかった様な気がして来る。
『地球樹の女神』以前の平井和正(前期)は、たとえ狼男が出ようが超絶サイキックが出ようが、我々が住む現実世界の延長線上に繰り広げられる物語だった。その現実世界で実際に同時多発で起こっている出来事をすべて活字におこすことなと到底不可能であり、我々は平井和正が任意に切り取った断片的事象を活字で読んでいるだけなのだ。 映像化するならば実写が相応しい。
かたや『地球樹の女神』以降(後期)の作品群は漫画チックにディフォルメされた世界観で進行する。半分夢の中で進行するような、なんだかふわっとした展開なのだ。 映像化するならばアニメだろう。
漫画チックなのだからさぞかし読みやすいのだろうと思いきやコレがなかなか曲者である。。。
『ボヘミアンガラス・ストリート』のような起承転結が付いた例外はあるものの、ほとんどの物語は時空の概念すら喪失し、ふんわりした夢世界を行くようで掴みどころがなく感情移入を拒否する。どちらかというと後期に属するウルフガイシリーズの犬神明編などかなり苦しんで読んだ記憶がある。「あれっ?俺ってウルフガイ好きだったハズなのになぁ」と思いながら、全く物語に入り込めなかった。今にして思えば、犬神明の砂漠での修行シーンを始め、あの頃から思いっきりカスタネダに傾倒していたのだろう。本作『幻魔大戦deepトルテック』でも、主人公みちるの名前よりも連呼されるカスタネダ、カスタネダ、カスタネダ!!ほぼ全編カスタネダの啓蒙書!!興味の無い人間にとってはほとんどゴーモンである(笑) でも、平井和正って昔っからそうだったよなーと思いつつ微笑ましく読み進める事が出来たのも自分がオッサンになってきたゆえか?(平井和正は昔から、自ら夢中になったモノの伝道師と化す傾向が強いのだ。) 『月光魔術團』など、あまりの煮え切らなさに途中で読むのを止めてしまったし、『時空暴走気まぐれバス』もキョトーンって感じだった(笑)しかし今になれば読める気がする。
書籍化されていない幾つかの未読の物語もいずれ読んでみたいと思ってきた。幻魔大戦deep、アブダクション、月光魔術團の続き。でも、ディスプレイで活字読むの苦手なんだよな〜。 本作で全く言及されていない、東丈にとって最重要人物であった東三千子は幻魔大戦deepでどんな扱いになったのかも気になるし。。
大分脱線した、本作は平井和正前期で現実世界からスタートした(筆者の思い込み)幻魔大戦、ウルフガイが当初からは予想だに出来ないラストを迎える。良くも悪くも。 かつての平井和正が毛嫌いしていた「王子様とお姫様はその後、幸せに暮らしましたとさ。めでたしめでたし」的な幻魔大戦! しかも、前期の現実世界の幻魔大戦が逆に(カナメさん的に言うと)寓話の様に語られてしまう幻魔大戦!!
平井和正の作品に良く出る(気がする)セリフ。「目から鱗が落ちたのか、鱗が飛び込んできたのかどうやって見分けるんだ?」という問いは永久に分かりそうも無い。
長年の幻魔大戦の読者としては丈と三千子に再会出来たのが感激です。 彼らは真幻魔大戦の頃から意外なほど変わっていない。 続きも順次配信されるとのことで期待が膨らみます。
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