ルイス・ブニュエルの雰囲気を醸し出す作品は他には無い。スパニッシュ作品、いや、イタリー作品にありそうな家族愛を痛烈な、美しい描写で細かく語られている。母親とセラピストの会話、保養所内の温泉プールとラスト・シーンの墓地以外は、全て家の中が舞台となり、興味深い物語が展開されて行く。ホモへの階段をリアルに表現!母子相姦というタブーを明るく表現!ネズミを電子レンジで調理する時の叫び声&弾けるノイズ!アブドゥの存在がとにかく笑う。典型的ヨーロッパの美しいインテリアなど、参考になるアイテムが観賞できる。フランソワ・オゾンという個性的な名の監督。生年月日が1960年代後半と知り、驚いた。付属の20分弱の短編も惹きつけられた。”短編王”の名は半端じゃない。これからの活躍を、多いに期待したい。これはストレス解消になる、間違いない!
この曲が長年聴き続けられているのは、家族の絆が歌われているからだろうし、詞の内容が理解されれば、さらなる感動を得られるだろう。ここに‘正解’を記しておこう。
今、魔が差して
もし、僕にその気がおこるなら
僕は自分を‘清算’するために
近くにある塔に行くような気がする
そして、てっぺんまで駆け上がれば
身を投げることになるのかも...
あなたが疲労困憊していて
「われらの神よ、酷すぎます。彼女は彼との約束を破ってしまった。
かける言葉も見つからない。我々は家に帰ろう」と
言っている人々がいる教会で窮地に追い詰められている時
そのようなことに遭っている人誰にたいしても
その事実を確実に受け入れるための必要な努力において
僕は自分一人でその努力をした時
また一人になった、ありのままに...
まるで昨日のことのようだ
僕がしようとしていた(息子という)役割をする人がいないように切望しながら
僕は心の底から明るく、楽しかったことが...
ところがまるで僕を打ちのめすように現実がやって来た
そして何度ということはなく
ほんのちょっと現実に触れただけで
それは僕を粉々にした
僕は疑心暗鬼に置かれつつ
慈悲深い神について語ろう
神は本当に存在するのか...
何故神は僕が必要としている時に僕を見捨てたのか...
僕は本当に全く
また一人になった、ありのままに...
僕には思われる
世界にはかなり多くの‘壊れた心’があるように...
それらは治療もできず、手当てもされないまま...
僕たちはどうすればいいのか? どうすれば...
今になってあの年月を振り返り
他の何が心をよぎるよりも
僕の父親死んで僕が泣いた時がまず思い出される
涙を隠そうにもできなかったあの時を...
そして(彼女が)65歳になった時
神は僕の母親の魂を永眠させた
彼女はそのことを理解できなかっただろう
母親は神を愛し、神に魅了されていたのだから
酷く傷ついた心とともに母親を旅立たせよう
僕の励ましにも関わらず
何も言わずに母親が亡くなった時
僕は一日中泣きっぱなしだった
また一人になった、ありのままに...
また一人になった、ありのままに...
三歳児の 空汰がかわいい。 その登場頻度が丁度良くて、邪魔にならず、鬱陶しくなく、 それでいて空汰こそが、一番の重要人物だったかもです。
さて、本編は 得体のしれない男たちに襲われ 身を隠す事を余儀なくされる真々田と 医師の八千草+空汰の、三人の同居生活が話の中心。
命の危機や公安の友人後藤は信じていいのか?・・・など、ほのぼの〜な話の中にもシリアス面が。 不本意な女装もヒヤヒヤ・ハラハラ。読んでて飽きない面白さがあり。
また、三人が出会った時を一部再現するような「再出発」の出直し方もとてもよかった。
巻末あとがきの 無邪気で素直な空汰の話も傑作でした。
ほのぼのしたい人にぴったりかもって感じのドラマでした。 あったかい気持ちになりたい人はぜひ見てください!
この短編集のうち、最初の2つは『サザエさん』のパロディで、最後の「嫉」は夫の歪んだ嫉妬がテーマですが、どの作品も極普通の人がメインで、サラリーマンの悲哀が基調にあります。「ごく普通に真面目に働くサラリーマンのつらさ」を登場人物が吐露する場面は、涙がでそうになります。
正直言えば『溝鼠』『無間地獄』『鬼子』のような、救いのないノワールな作品の方が好きですが、このようなものも新堂さんの新境地として評価したいと思います。
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