初版の文庫本を持っていたのですが、転居で無くしてしまったらしく、だめもとでAmazonを覗いてみました。 すると、「出品者販売のみ」ではなく、普通に販売されていたので非常に驚きました。 何故ならこの本の初出は1989年。20年以上も前に出された本だからです。 ここまで版を重ねる本…いかに多くの方がこの本を読まれているのか、しみじみと実感しました。
この本の価格は、文庫にしてはお高めです。 その理由は、それぞれの章ごとに、文章とカラーイラストがついているのです。 文庫版の画集などと同じ…と考えると、このお値段も納得がいくのではないでしょうか。 でも、イラストの微妙な色遣い、詳細な描き込みを見ていると、文章だけでは想像しにくい細部まで本当によく解り、いつまで眺めていても飽きません。 大人がじっくり楽しめる絵本…といった感じです。
「百話目を語ったが最期、化物が出現してとんでもないことになる」と言うから、もっと怖〜いお話ばかりかと思いきや、それが大して怖くないのです。話に落ちがなく、それでどうしたのとページをめくるともう一つの話が終わっていたりして、変なんです。
ところが、読み出すと何かに憑かれたように、止まらなくなってしまうのです。
今も昔も不思議なことに出くわすことに変わりはないでしょうが、江戸の人々の怪奇に対する解釈が、今の時代から見ると、とてもユニークで面白いです。(私には、懐かしい感じがしましたが・・・)
江戸時代の風俗がよくわかる本です。江戸人の価値観などもうかがい知ることができます。そのお金に執着しないところ、その日暮らしで、働くことにあくせくしないこと、人生に対する楽観的態度など、我々現代人にはない、生き方には、考えさせられるものがあります。新鮮で、自由さを感じます。また、著者によるイラストが豊富で楽しいです。昔の学習雑誌の漫画の付録みたいで楽しい雰囲気です。杉浦日向子さんの江戸びいきの味がよく出ています。
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