セントラル・サーキット／フェラーリ・フリー走行フェラーリモバイル

セントラル・サーキット／フェラーリ・フリー走行

アクセルを踏みこめ (経済界新書)

著者は中高生時代は、友人もなくビリの劣等生だったという。
そして二流の車整備の専門学校に通い、トヨタの営業所のメカになる。
どこから見ても二流以下の経歴だ。それがトヨタ本社の技能オリンピックで優勝する。

それには先輩に現場の神様のような整備士が居て、厳しく、ツッケンドンに、しかし優しく教えてくれている。
現場の人間でないと経験できないようなことが書かれている。
評者も現場の人間、整形外科医なので、手術に関しては著者やこの石田先輩のいうことはよくわかる。
そこに手があり神経が切れているからそれをつなげと言われても、何も考えないでハイ縫っておきました、の術者もいる。
しかし専門家はあらゆることを考える。手術成績の差は歴然としている。

広岡監督が野球解説で、“ピンチヒッターに指名されたから、ハイ、バットを振ってきました”何の為かも考えていないんですよねぇ、、、。と言っていたがそれを思い出した。

現場の人間でないと気が付かないようなことが多く書かれている。
日本語も素直なきれいなもので、悪文家に書き移して国語の勉強しなさいと言いたくなるようだ。
著者とこの本との距離も、良好。少し離れてみているのが好感が持てる。

本当にこれが落ちこぼれ寸前の、自閉気味の過去を持つ人が書いたものだろうか。
著者略歴を見ると、実話のようだが。

ただ帯はいただけない。感激だの、泣くだの、入れ込みが多すぎる。