ニーチェの処女作にして古典文献学会から追い出される羽目になった著書。 異を唱えたいのは、訳者秋山氏による巻末解説。彼の文を読む限り「悲 劇の誕生」がなぜよいのかがわからない。そこからは「ニーチェが牽強 付会、強引な論述の数々をおこなっている(苦笑)。天才だからしょう がないよね」というネガティブかつ思考停止な評価しか伝わってこな い。秋山氏がなぜニーチェを評価しているのかとても謎。しかもちゃん と理解しようとさえしていない態度に噴飯。たとえばソクラテスを主知 主義者としたり、ムーサイの術を音楽(music)に解釈したりするのは ニーチェの強引なやり方の現れとしているが、19世紀〜20世紀初頭では 上記解釈が通説だったので(例えば同時代人のヴィンデルバントやシェ ヴェーグラーはソクラテスを主知主義者と規定しているし、20世紀初頭 の英書などではmusicと訳している)、別段ニーチェ特有のことではな い。
ヨーロッパの辺境に位置するロシアではソロヴィヨフやベルジャーエフをはじめ数々の異能な思想家を輩出した。その中でシェストフは異端の中の異端といえるだろう。 彼の思想は「理性」への信頼から構築された西洋哲学に真っ向から対抗する不安・非合理の哲学といえると思う。日本でも実存主義ブームの中ベルジャーエフらとともに取り上げられたが現在新刊で手に入るのは本書のみとなった(かつて雄渾社から選集が出ていた)。 本書は訳・注ともに丁寧でありシェストフ入門に最適である。ヨーロッパ哲学とは違ったシェストフの哲学を体感してほしい。
ご苦労された多くの人々の心が推測されます。 今こそ、多くの人々の思い後に伝えたいですね!
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エヴェレストの登山で結果的に12人が死んだ96年の事件を、登頂した当人、しかも取材前提で同行したジャーナリストが語ったものです。クラカワーは抑制した筆致で何が起こったかを淡々と記述していきます。遭難本というのはどこかミステリー的になる(ならざるをえない)ところがあると痛感する一冊です。 人物がフル登場なので途中まで名前と性格・背景が混線しますが、ラストにかけて人物がしぼられて焦点化されていき、それぞれがどこでどういう行動をとったかが、脳に刻まれてきます。 ある地点で、クラカワーが人を誤認し、またある虚偽の情報を相手に告げてしまいます。それらがめぐりめぐって当事者たちの生死に関与する。とはいえ、それをもってクラカワーを責めることはなかなかできない……よくぞ、言いづらいことを本人が白状している、と思いました。 この大事件には、他の当事者も本を出していますが、最初に読むにはもってこいです。
ルートマップとエヴェレスト頂上ピラミッドの写真があるので、それと見比べながら読み進めることになります(単行本ヴァージョン)し、非常に便宜がいい。
クラカワーはほんとうに因果な経験をしましたね。「書かざるをえなかった」作品とはこういうものだろうと思った。
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