稜徳会病院で発生した殺人事件の黒幕 森原法務大臣 を追い詰めるべく、倉木警視はマスコミに事件の真相を新聞社にリークしようとする。それを契機に、事件の関係者 倉木、大杉、明星の周りで不穏な動きがみられるようになるのだった ・・・
『百舌の叫ぶ夜』が良すぎたかためか、比較してしまうと多少もの足りない。倉木、大杉、明星らのキャラクター間に、湿り気が混じっているように思えるからなのだろう。シリーズ作品として見た場合はターニングポイントとして必要なのかもしれないけれど。
スリリングな展開には前作同様に魅せられるので、引き込まれる作品には違いない。これからも読みすすめていきたいシリーズである。
納得のベストテン。ベストテンを挙げろと言われると結構難しいものの、ベストテンを眺めていると納得してしまう。まあ、古いタイトルが中心なのは当たり前か。ただ、最近の作品、グラン・トリノがベストテン入りとは驚き&うれしい。年末年始のDVD鑑賞の参考にしたい。
禿鷹シリーズは好きで文庫でずっと読んでいました。前作で禿鷹が死んだ時 正義の味方が出てこないこのシリーズを好きだった私はがっかりしておりました。 禿鷹のクールで悪徳なキャラは代わりの登場人物では埋めきれませんでしたが ストーリーはなかなか面白かったです。 あの悪徳の禿鷹に迷惑をかけられつつも、変なシンパシーを感じていたのか 手を組んで復讐に動くという設定が良かったです。 あと、唐突にメインステージに登場の禿鷹の妻。魅力的でした。 裏帳簿の奪い合い、悪徳な警察関係者の暗躍。 面白かったです。 ただ、やっぱり一味足りないのです。 時代を遡って禿鷹を生き返らせてほしい・・・と思うワガママな気持ちが強くなりました。
直木賞・日本推理作家協会賞受賞作であり、作者の魅力の詰まった代表作。
PRマンの漆田は、日野楽器がスペインから招いた著名なギター製作家ラモスから、サントスという日本人のギタリストを捜してほしいと頼まれる。20年前ギターを求めスペインを訪れたサントスの腕は認めたものの、製作が追いつかずギターを譲れなかったことが心残りになっているというのだ。
卓越したギターの腕を持ちながら帰国後忽然と姿を消してしまったサントス。サントスを探す漆田は、彼の息子と思われるパコというギタリストをてがかりにサントスの行方を追うが、やがてラモスがサントスを探す理由の一つに行き当たり、巨大な事件の波に飲み込まれていく。
上巻では、「カディスの赤い星」の正体とそれに込められた目的が明ら!かになる。
サントス探しの他に、「カディスの赤い星」の正体、ライバル会社太陽楽器のPRマン理沙代との恋、「全日本消費者同盟」槙村との対決、テロと、読者を飽きさせない要素がふんだんに詰まった作品である。
「スペイン」「広告業界」と、この作品後の作者の方向性がみられる作品であり、まさに直木賞に値する作品である。
本作品は、1986ミステリー・ベスト10国内部門4位にランキングされた。同年は2位に
もう一つの代表作「百舌の叫ぶ夜」がランキングされており、作者の大ブレークした一年となった。
文学賞をトリプル受賞ということで期待を持って読みましたが、期待に違わず、大変面白かったです。途中読み飛ばす所や、眠たいところもなく、一気読み確実の小説です。少し昔に書かれたので内容が少し古いですが、それを感じさせないスピート感のある作品です。 スペインとギターに興味のある人なら更に必読です。
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