オーディオの再生ボタンを入れた瞬間、とんでもない音が飛び出してきた。 ヴァイオリン録音もついにここまで来たか・・・と思わせる極上の一枚。 恥ずかしながらイザイの無伴奏は聴いたことがなかったが、精神性高く、情熱的。 戸田弥生さんの演奏には、いったいこれ以上何を望めよう、最高です。
999の後番組で「ああ、そんなのあったな」という程度の認識でしたが、思った よりもかなり面白かったです。 映画、原作漫画版はだいぶ前に見てましたが、これらより個人的には面白かった 気がしました。 一話完結、もしくは前後編でエピソードが完結する999に対し、本作は気になる 引きで右下に「つづく」の文字が出て次回に続く連続物なので、次が気になって 更に見てしまう。 原作ではヒロインの弥生はメーテルそっくりでしたが、前番組のヒロインである 彼女との差別化のためか、TVでは丸い目で、顔も丸顔といった感じにアレンジ されていました。メーテルの妹というなら、これはこれでアリだと思いましたが。 天文台の所長の助手をしながら、三食ラーメン堂の看板娘として働き、地球にいる ラーメタル人による地下組織の頭目「1000年女王」というのは、かなり無理がある 設定だとは思いましたが。2足ならぬ3足の草鞋(笑)。
潘恵子さんの演技がとてもよかったです。当初は母星ラーメタルから与えられた 使命に従って、科学者を誘拐して優秀な地球人だけを選別してラーメタルまで 乗せる宇宙船作りを指揮していた彼女が、地球人である雨森始に次第に感化されて いき、母星ラーメタルと地球との衝突に備えて地球人を一人でも多く救おうと 決意を固めるまでの心境の変化や、故郷ラーメタルと地球との間で葛藤する姿など がよく描かれていたと思います。
でもこんなに地球思いの優しい女性なのに、後年の「メーテルレジェンド」、 「宇宙交響詩メーテル」を経て、「999」の機械化世界の女王プロメシュームに なってしまうというのは腑に落ちないですね。 原作を読んでる人からTV版の夜森の扱いが悪いという声が聞かれますけど、 弥生が地球人に必要以上に肩入れしすぎていると感じて不信感を強めていく あたりの描写はそれほど不自然には思わなかったので私は気になりませんでした。
むしろ後年の作品で弥生が機械の狂信者と化してしまうように描かれていることの ほうが納得いかないんですが・・・・「1000年女王」の弥生と「999」のプロメシューム ってキャラ違いすぎ・・・・
後年の作品で弥生のキャラクターが180度変貌していくことには潘さんも心残りな 点があったようで、 「私的には機械の体になってもどこかに人間らしさを残しておいて欲しかった」、 「もう一度人間の雪野弥生をやりたい」と「宇宙交響詩-」DVDの特典映像の インタビューでコメントしており、本作を見るとその気持ちがわかる気がしました。
気になった点は、終盤で弥生が超能力を連発する点でしょうか。大津波から東京を 救うべく初めて超能力を発動させたシーンはそれなりに見ごたえありましたが、 後はもう連発しまくりでどんなピンチでも大丈夫だろうと思えてしまうし、逆に ラーメタル星の牢屋に閉じ込められた時には始の手を借りずとも脱出できるだろと 思えたりした点があったほか、こんな力があったら最初から使えばいいのに!とも 思いました(特に予知能力)。 超能力を発動させるにしても、例えば始や地球人を少しでも多く救いたいという 強い思いから1000年女王として真の力を発揮するとか、もう少し覚醒へのプロセス などを踏まえてほしかったです。
2013年1月26日、兵庫芸術文化センターでの戸田弥生の無伴奏ライブ(バッハ・パルティータ第2番ほか)がとても素晴らしかったので、CDでじっくり聴いてみようと購入。期待を裏切らない素晴らしい演奏だった。自らの信じる音だけに従うストイックな演奏。夾雑物がなく、聴手にストレートに伝わってくる。余計なエコーを排し裸の音を伝えようという録音姿勢と技術の高さも音楽家の「志」を支えている。ストラビンスキーの「エレジー」に弱音の醍醐味を感じた。
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