ダービーはオルフェーヴルが勝った。 安田記念はリアルインパクトが勝った。
取ったハズレたという観点抜きに競馬を見れない自分にとって吉沢本はものの見方を教えてくれる貴重な存在。 私にとって血統は馬券を取るツールではなく歴史を検証するツールである。
『競馬の血統学』は英米種牡馬列伝の趣、98年度JRA馬事文化賞受賞作。 今回は我が国のサンデーサイレンスにスポットを当てている。 吉沢ファンからするとようやく出たか、という感じだろうか。
この当たりの事情はあとがきに触れられている。
2002年8月、サンデーサイレンスが逝ったとき、 すぐに「ポストサンデー」をテーマに書いてほしいという原稿の依頼があった。
(中略)
サンデーサイレンスのことはもう書くまいと思っていた。
・・・
書かなければいけない理由があるから書く、だから面白いものが書ける。 副題につけられた「憂鬱」は著者自身の葛藤を表している。
競馬とは何であるか 血統とは何であるか ・・・ 自分とは何であるか
・・・
著者の葛藤に深入りせず内容について一言だけ。
血統初心者(自分のこと)が、
そうだったのか! とポンと膝を打ちたくなる内容。
◎ 目次
序章 「ジレンマ」はもう始まっている
サンデーサイレンスの功 サンデーサイレンスの罪 キングカメハメハの乱 ディープインパクトの敵
第1章 血のレボリューション サンデーサイレンスとは何だったのか
ダービー優勝率5割 格差の温床 リーディングサイヤーの仕組み アーニングインデックス 最初の犠牲者 バブルの申し子 実り多き10年 シンジケートの目的 アメリカの大いなる誤算 ラムタラショック ベストの配合
第2章 血のジレンマ サンデーの敵はサンデー
血統パンデミック 大量生産される良血馬 超就職氷河期の種牡馬たち セントサイモンの教訓 インブリードとアウトブリード 3×4は勝利の方程式にあらず 繁栄は終焉の始まり
第3章 血のミッション フジキセキ 孝行息子の肖像
三歳で種牡馬入り 二年目に大変身 種牡馬の折り返し便 投資家グループの錬金術 シャトルサイヤーのメリット 見えてきた負の側面 逆境に打ち勝って 最大の功労者
第4章 血のイリュージョン 代用血統の可能性
ステイゴールドの意地 フジキセキの代用血統 代用血統の秘められた力 鳶が鷹を生む 代用血統が望まれる事情 血の錯覚 代用血統の逆輸出
第5章 血のリベンジ 異系種牡馬の逆襲
ミスタープロスペクターの台頭 名ステイヤー牝系との親和性 エルコンドルパサー登場 躍進するミスプロ系 スピードよりスタミナ もはや「内国産馬」ではない 異系の仮面をかぶったサンデー系
第6章 血のルネサンス 無敵の牝馬が象徴するもの
日本初「牝馬の時代」 女傑はいつ誕生するか 原因は牡馬のレベルダウン 世界の最新血統事情 だぶつくサンデー系「高級車」 世界はサンデーの血を待っている
終章 「ジレンマ」から逃れるために
授賞式の見慣れた風景 格差はここまで拡がっている 消えた最大のライバル 名門ファームの転落が教えること 世界にもっとサンデーを
参考:競馬の血統学
第1章 血の宿命 革命の使者セントサイモン 第2章 約束の地 影の立役者ハイペリオン 第3章 血の盲点 近代サラブレッドの祖先ネアルコ 第4章 喧しい血 偉大なる後継者ナスルーラ 第5章 辺境の血 サラブレッドの新種ノーザンダンサー 第6章 新しい血 雑草血統の選りすぐりネイティヴダンサー 第7章 希少の血 日本に息づくトウルビヨン 第8章 血の相性 眠りから醒めたロイヤルチャージャー
BOXセットに特典があるのかどうかわからないが、3枚の中からどれと 言われればまずこれでしょう。サンデーサイレンスの競走映像はそうそう オンエアされているものではないし、貴重なものとなるでしょう。 ライバル、イージーゴアとのレース。きっとサンデーの気性の激しさ 負けん気の強さの証拠、あのシーンが見れることでしょう。
驚異的なペースで重賞ウイナーを輩出し、瞬く間に日本の競馬を席巻し、瞬く間にその額の流星のようにこの世を去っていった大種牡馬サンデーサイレンス。 「次はどんな馬を出してくれるだろう」と毎年期待させてくれた。サンデーファンとしては、もっと何世代も見続けていきたかった。 サンデーサイレンスは、ただ勝利数などの数字がすごいだけではない。 ディープインパクト、サイレンススズカ、ステイゴールド、ビリーヴ、ゴールドアリュール・・・。 強い馬、速い馬、個性派、短距離、ダート。これほど多岐にわたる産駒を輩出する種牡馬は空前絶後といえるのではないだろうか。 表題作の「サンデーサイレンスの奇跡」では、サンデーの凄さを記しただけではない。 「サンデーサイレンスの死は生命体としての条理だったのではないか」というサンデーの関係者の言葉を元に、サンデーサイレンスの死がもたらした影響、死の意味にせまる。 本書は、サンデーサイレンスの他、ノーザンテーストやウオッカ、山田泰成騎手など、人馬のドラマを収録している。
この本はサンデー自身のことだけではなく、アメリカの競馬に対する考え方などが書かれていて面白いです。とくにサンデーの調教師の人のことは競馬を詳しく知らない人間でも、感心してしまうほど緻密で・繊細で冷静な判断が必要なんだと考えさせられました。今では種牡馬として確固たる地位を保っているサンデーがいかにして、アメリカを代表する馬まで登りつめたのか・そして尊敬されるほどの馬になっていったのか丁寧に書かれていて、読み応えのある1冊だと思います。それにしてもアメリカは惜しいものを手放したなーと感じた1冊です。
「良かった~」これが見終わった後の正直な感想です。見るまでは「へこむような内容なら嫌だな~」っと思っていましたが、そんのものは杞憂になってしまいました。 このDVDで初めてサンデーの走っている姿を見れたし、厩舎でミントキャンディーを食べている姿などオフショットも満載でした。 何よりとても丁寧にサンデーの生涯が記録されていて、いなくなって悲しいというよりも「良くぞ生まれてきてくれた」っと前向きな感想を言いたくなる様な内容になっています。 また10世代ごとに名馬がいるので、最近競馬を始めた方でも十分満足できると思います。スズカが厩舎の馬房の中でクルクル回っている姿も一寸ですが見れます。それに解説もついているので分かりやすいです。 居なくなってしまった!事は大変残念ですが、これだけ多くのものを残してくれたことに今更ながら感謝です!
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