サウンド自体は紛れもなくフェイゲンのもの。ファンとして再び新作を手にできる幸せに感謝したい。 しかしSDワールドを心から愛するファンだからこそ、本作に対しては敢えて厳しいレビューを記したい。
9曲の楽曲はみな過去の作品に比べると退屈感が否めない、これが数日間繰り返し聴いた率直な印象だ。「The Nightfly」はもとより、前の2作品には及ばないと評された前作「Morph the Cat」と比べても、楽曲の「平凡さ」と「小粒さ」が気になる。(例えば、本作でオープニングを飾る "Slinky Thing" と、前作では比較的地味な存在だった"Mary Shut The Garden Door"を聴き比べてみて欲しい。)この退屈さが何に起因するものなのかはこれからじっくり研究してみたいが、面白みのないコード展開、単調なメロディーラインとリズムアレンジ、インパクトの薄いソロ、リピートの多い曲構成等々、主観的かつ相対的な印象とはいえ、気になる要素はいくつかある。録音の善し悪しについては他のレビューに譲るが、それを差し引いても、私にとって本作はいまのところこれまでの3作品を上回るものではないと言わざるを得ないのが残念だ。
ただ、"I.G.Y"を彷彿とさせるグルーブ感が心地よい"Miss Marlene"や、"Out of the Ghetto"のカバーで見せたフェイゲンのボーカリストとしての新境地など、キラリと光る要素もある。前作「Morph the Cat」も聴けば聴くほど凄みが増してくるアルバムだった。今後聴き続けることでどのような化学変化を見せてくれるのか、期待したい。
70年代から21世紀(ここ数年だけど)までの名曲から選ばれた曲たちです。いい歌は時代を超えることを実感しました。けっこう泣けちゃうかも!
ファン,それもコアなファンでなければ楽しめない,しかし,コアならものすごく楽しい。
間違いなくフェイゲンらしいサウンドです。客観的に捉えれば平均点を大きく上回る出来なのですが、期待が大きいだけに、この出来ではイマイチと感じました。私にとっては何もかもが少し足りないのです。新たな表現を目指した作品とすれば変わり映えがしませんし、スティーリー・ダンの延長とすれば完成度に欠けます。 では何が足りないのか? それを上手く説明できるなら優秀なプロデューサーになれますが(笑)、例えばドラムとベースの人選も私には?ですし、驚くようなハイファイ録音でもないし、単調な感は拭えないし・・・etc。 結局は一流のヒネクレもの同士で、そう、ウォルター・ベッカーと一緒にやってもらうしか無いのかなあ・・・。
2011年9月14日にSACD(ハイブリッド)が発売されることになりました。DVDオーディオフォーマットで発売された音源でリマスターはされていないようです。残念。
本日の夕刊でSHM-CD版が発売されることを知り、待望のデジタルリマスターを期待しワーナーのホームページをチェックしましたがリマスターはされていないようです。残念。もともと録音の良さが有名なアルバムですが、リマスターとSHM化を比べたらやはりリマスターに軍配が上がります。これが出たと言うことはリマスターは永遠になしですかね?でも初めて入手される方にはお薦めです。SHM-CDの方が通常版よりも確かに音は良いです。
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