奇想天外だけど、痛快スリリングな小説です。 映画のような場面の連続で、こんなのありえないよなーと思いながらも一気に読み終わって、 最後はスッキリ爽やかな気分になりました。 登場人物も、どこにでもいるようないないような(笑) あまり深く考えず、ストレスを解消したい方にはお薦めです。 映画化されたらきっと面白い作品になるような気がします。 是非見てみたいです。
長編小説を読むよりも短編集のほうがよほど集中力が要ると個人的には感じている。作品が変わるたびに、登場人物や状況設定をリセットしなければならないからだ。その割りには読んだすぐから忘れていってしまうような薄い内容のものも多くて、最近は短編集を手に取ることが少なくなった。
犬が登場する作品集ということだったので短編集だが読んでみた。5編収録されているが時間を忘れて読んだ。どれもみな骨太で素晴らしい小説だった。「グッドバイ」「バックパッカー」の登場人物が放った「飼い主が犬を選ぶんじゃない、犬が飼い主を決めて生まれてくるんだ」というセリフが胸を突いた。ことに浄化と再生を描いた「グッドバイ」「バックパッカー」「向かい風」がよかった。
死に別れた犬、放浪の旅の途中で出会った犬、老いた猟師のために命を賭す猟犬、野犬のリーダーとして追われるオオカミ犬、災害救助犬。登場する犬や人はさまざまだが、5編が織り成すそれぞれの生きざまを読んでいるうちに心のなかに温かいものが湧き上がってくるのを感じた。良本です。
山岳小説、冒険小説、青春小説、そして犬小説。これらの要素をすべて兼ね備えた一冊。南アルプスの北岳を舞台に人と犬が織りなす人命救助の物語。
東日本大震災の被災地に入り、相棒の犬とともに救助活動に加わった経験を持つ主人公。そこで受けた衝撃がいまも彼女の心を押しつぶしている。「この世に神はいない」そう思わなければ乗り越えることができない経験をした彼女の心を山と仲間、犬たちが救う。遭難者を救う立場にいる人間がいつの間にか山に救われている。そこが本書の読みどころではないだろうか。
物語が終盤にさしかかるとき、なぜだか涙があふれた。それは本書が私の心の中にもある消せないなにかを洗い流してくれたからかも知れない。読後は爽やかな気持ちになれた。
6年前に出版された『小説ルパン三世』の文庫本です。
久しぶりに読みましたが『こち亀』の小説版同様、大沢在昌氏を始めとする錚々たる執筆陣によって描かれた『ルパン三世』はまた一味違う味わい深い作品となっており面白かったです。
『十年金庫は破れるか』の錠太郎が登場した挿話はかなりお気に入りです。
と紹介されてましたが、まさにその通りだと思います。構成は主人公が幼少の頃・SP時代・山岳警備隊時代と分かれており、それぞれが伏線を持ちながら、からみあっていきます。山登りはしたことないですが、登山にまつわる知識・危険性などの解説がリアリティを増幅してくれます。ハリウッド映画ばりの壮大なストーリー。一読の価値はあると思います。
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