あの有名な、水たまりの上を跳躍する男の一瞬を切り取った「サン=ラザール駅裏」も収録。
私が特に気に入ったのは「マルヌ河畔で フランス 1938年」。
まるまると肉付きの良い背中をこちらに向けた男女4人(とひざに乗ったおかっぱの子ども)が、一様に画面奥を流れている川面を眺め、食い、飲む様が写し出されている。
食事はほぼ食べ尽くされ、ワインはほぼ飲み尽くされ、気怠く満足げな雰囲気がただよっている。
目の前のボートには、据え付けられた椅子と釣り竿。 父と息子の釣りに、ランチを携えてやってきた奥さんとお姑さんと子どもが合流…というところだろうか。 (息子でなく入り婿かもしれない…と目を凝らしてみると、男性ふたりのうなじの形、髪の生え際がそっくりなので、多分親子だと思う)
とてもくつろいだ風景だが、白いシャツを汚さぬよう胸に垂らしたナプキン、黒いソフト帽、ガラス製のコップ、陶器の器、キチンとウエーブを作ったお姑さんのヘアスタイル…なんとはなしに現代には無いエレガントさが漂っている。
家族のピクニックなのに、映画館の客席のように何故かみな一方向を向いて座っているのが不思議であり、コミカルでもある。
これがこちらを向いている写真だったらどうだろう。 たぶん私は5人もの人物に見つめられ、落ち着かない気持ちで、早々に目を逸らせるだろう。 しかし背中からなら。 うなじを比較できるほど遠慮なく観察し、次第に彼らのかもす空気に染まっていくだろう。 あたかもグループの一員になったかのように。
そんな普段何気なく行っている、他人への興味本位の接近。 「マルヌ河畔で」はそれを誘いかけてくる魅力たっぷりの一葉だ。
他には 椿鬼奴のようなメイクで誘いかけてくるメキシコの娼婦(?) 神が鎮座するインドの山陵に向かって手を差し伸べる、印象的なローブとベールをまとった人物の後ろ姿。 枢機卿のうしろ頭と、彼の手に口づけ、何事か訴えかける紳士・淑女。 黒い画面に「告別式」という文字と青白く憂えた顔、泣き伏す顔が浮かび上がる「歌舞伎役者の葬儀」 などなど…
印象的な、けれど何気ない写真たち。 みなさんもお気に入りの一枚を探してみてはいかがでしょう。
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