ジョンソロデビュー作。自曲が、フーの作品に中々入れてもらえないため フラストレーションを吐き出した作品。内容は一言で言うとハードロック。1曲目からツェッペリンのようなリフ展開のmysize、
バラードあり、インストあり、お遊びなi believe in everything、こっちのほうが、かっこいいheaven and hell ソロ1作目にして、幽玄な香りのハードロック。(しかし見事に売れなかった)これ以降変態趣味の作品が続きファンとしては嬉しい限りの名作が続くのであった。
今でこそロック界最高のベーシストと言われ、The WHOサウンドの真の立役者としてリスペクトされているジョン・エントウィッスルだが、ベーシスト自体が地味な存在と見なされていた60年代から70年代において、彼はそれほど注目されていなかった。特に他のメンバーがいずれも強烈な個性を放っていたので、なおさら地味に見えた。そうした評価に納得していなかったジョンが、現役ロックバンドのメンバーとしてはおそらく初めて発表したソロ作品が、本作である。My Sizeを始めとする歯切れのよいハードロックサウンドからジョンの気合の入れようが伝わって来る。楽曲の完成度でいえば、本作こそ、ジョンの最初にして最高の傑作だと思う。フーのリードベースが好きだという人は、この作品もぜひ聴いてほしい。
ザ・フーの中で一番目立たなかったのがジョンなのだが音楽に関しては一番過激な事を演った人だし一番ロックンロールな生活をしていたのもこの人だった。ベースの常識を無視した轟音弾きまくりベースは何度聴いても狂っている。最高だ。
ところがソロでの演奏はぱっとしない。フーでのジョンの演奏を期待すると肩透かしを食らう。ザ・フーに於ける異常とも思える緊張感が全くないのだ。ジョンの演奏に対し戦いを挑む程の力量のあるメンバーは不在だしそのような楽曲になっていないためだ。ただのロックンロールなのだ。
ジョンは自分の作品がフーで取り上げられない事に不満を持っていたが、いざ自分のバンドで思い通りの演奏をしたら自分の持ち味が出せないとは全く皮肉なものだ。彼があれだけサンダー・ベースを弾けるのはピートの書いた独特の隙間のある楽曲があったからだ。メンバー全員がその隙間に向かって音を詰め込み爆発した結果があの緊張感ある音になっていた訳だ。ジョン・エントウィッスル・バンドには残念ながらそのマジックは存在しない。その為あのベース音も十分に機能せずうるさいだけの空回りの印象が強い。例のベース・ソロもザ・フー出演時の物と比較し明らかにテンションが低い。
屋外の音楽祭なのか観客は盛り上がらないったらない。もっと盛り上がった映像があったのでは。曲も殆どはフーのものだしジョン・エントウィッスル・バンドとしての独自性も出せていない。
長年活動を共にしたルオンゴによるジョンへの追悼の言葉が感動的だ。
ジョン、あんたが居なくなって本当に寂しいよ。