2009年11月に行われた事業仕分けのやりとりを分かりやすく解説していました。
中盤に差し掛かると、いかに無駄な事業が多いか、天下り役人が多いか、読めば読むほど、「税金の無駄！」で腹が立ってきました。

挿絵や、グラフが多用してあるので、子供からお年寄りまで幅広く読めると思います。
特に「〜パロディ劇場〜　事業仕分け・水戸黄門篇」は笑えました。

「事業仕分けって、一時期話題になったけど、結局何なんだろう」
という疑問に答える一冊。
いわば仕分け人が書く事業仕分けの解説本と言っていいだろう。
ケーススタディを通じて読者も仕分け人の思考回路を辿ることができる。

著者が弁護士、というのもいい。
第三者的立場からわかりやすい文章で説明しており非常に読みやすかった。

注目すべきは、2010年11月18日まで行われていた事業仕分け第3弾の
最新エピソードも書かれていること。
まさに今、行われている事業仕分けの現状を知ることができる。

・費用対効果より大義名分？
・補助金をフェアに配るなんてありえない？
・箱モノ不動産を作ることで事業の自動継続を図るのは官のセオリー？

私たちは官のこのような“ルール”を知らずに、
事業仕分けを理解した気になっていたのではないだろうか。

政治ショーとしての事業仕分けではなく、
検証可能な行政を実現するツールとしての事業仕分け。
その実態を知りたい人、
官のルールを知りたい人、
事業検証の方法を知りたい人
にお勧めする、良本である。

「事業仕分け」という行政改革の手法の概要については別に本が出ていますが、この本は
実際に仕分け人として携わった方がその内実を語ったという点で貴重な証言となっている
と思います（その点で☆5つ）。
　ただ残念なのは・・
　結局のところ本書は事業仕分けという「物語」における、「作者のあとがき」の域を出
ない。個人的にはあとがきは好きだけど、結局のところ「物語」の流れが雑だったり、誤
解を招かせるようなシナリオについて、「あとがき」で弁解するような記述が見られる。
　天下りや官民癒着を暴きだし、いかに効果的効率的な予算の執行（補助金も予算の執行
です）を実現するかという狙いは理解できますし、今後の進捗を期待しますが、「天下り
」問題に固執しすぎて「天下りが一人でもいればそこの事業は全部憎い」という状態に
なって、「事業仕分け」＝「官僚・天下り撲滅大会」という印象を読者に与えてしまってる。

行政改革手法としての「事業仕分け」を学習するなら構想日本（事業仕分けの本家で国の
事業仕分けにも関与）が監修した自治体向けの良書が出ているのでそちらを参考にした
ほうが良いと思います（なんか引っかかるのでマイナス☆ひとつ）。