2010年末に劇場で観てきました。
大学生の「ヒデ」と、彼を翻弄する「額子(がくこ)」
一組の男女の10年越しの愛の行く末を描いた作品ですが、物語はいたって単純です。
また、登場人物たちのセリフや演技も、ちょっとぶっきらぼう過ぎるほどです。
だからこそ、なのかもしれません。それぞれの感情が観客である私に直接伝わってきて、痛いほど打ちのめされました。
誰でも陥りうる人生の中の小さな過ち、理不尽な運命。そして、気付かないほど徐々に心を蝕んでゆく喪失。
ヒデと額子は長い時を経て再会を果たしますが、それからの小さな希望の日々をいくら重ねても、きっと取り戻せないもののほうが多いのだと思います。
それでも、この「ばかもの」という
タイトルには、言葉では説明できない愛情のようなものが込められており、なにか自分の人生を大切にするためのヒントを得たような気持ちになります。
そうそう、エッチなシーンも結構期待していいと思いますよ(笑)
DVD発売が楽しみです。
超然ときましたか。さすが一筋縄ではいかない感じです(何が?)。超然としているもの…妻、…下戸、そう作家、作家。
こうやられたら読まないわけにいきませんがな。
妻はどのように超然とするのか。
下戸が超然とするとはどういう心境か。
作家の超然、ぜひ読ませていただきます!
というわけだ。超然という言葉を拾い上げた時、作品は形を成し始めたのだ。超然という
タイトルを目にした時から、すでに未読者にさえ作品のなんらかが力を及ぼしているのだ。
しかも超然は71ページであっさりと一度敗れ去っている。そこで相対化されたはずの超然が、その後もむくむくと悪性腫瘍のように再生する。たちの悪い言葉である。失礼、実に手ごわい言葉である。
一般的な常識人でない父、強い愛憎を引きずる男兄弟など、今後の作品に強い影響を及ぼしそうなモチーフが繰り返し登場して興味深かった。
当たり。
これは面白い。
一つ目の
「勤労感謝の日」
は、人間スケッチが絶妙。
声を上げて笑ってしまいました。
二つ目の
「沖で待つ」
はしっかりとした重さがあります。
軽い感じで書かれているんですが、重みがしっかりとある。
「同期」「同僚」「仕事」
今の時代あっさり済ましてしまいたいことを、とても優しく描いています。
こういうのは絶対ありだよなぁ、と思ってしまいました。
久しぶりに
「これは
芥川賞だなぁ」
と思いました。
直木賞も良いけれど、
芥川賞も良いと思わせてくれた作品。
迷い無く星五つ。