ある時、職場で同僚が、このCDをかけた。そのあまりの出来の良さに驚いて購入。
そしてヘヴィー・ローテーションに。
このアルバム、アーティストの表現結果(制作物)というより、これまで自分の音楽を楽しんできてくれた
ファンとリスナーたちへのプレゼント、という色合いを鮮明にしている。そこがいい。
ジャケットはアンディ・ウォーホール+マリリン・モンロー(=ポップ・アートど真ん中)。
1曲目は「Hung Up」。ABBAのサン
プリング曲から自分のベスト盤を始めてしまう。かなり思いきっている。
ここからの4曲はパーティ・ミュージックの決定盤で、5曲目の「Holiday」、「Like a Virgin」
「Into the Groove」とヒット曲を入れながらその流れが続く。1枚目のちょうど真ん中に「Like a Prayer」。
そしてまたフロアやパーティを意識した流れへ。知らない曲が数曲続くと、誰でも知ってる必殺チューンの
イントロが鳴り響き、テンションが上がる。気分がよくなると同時に、知らなかった曲への親近感が高まる。
2枚目に突入しても、1曲目はゴキゲンなリズムが強調された「Dress you up」。マドンナの「みんなOK?
まだまだいくよ」という声が聞こえてきそう。ここからは大ヒット曲メドレーで、気分はマドンナ・コンサート。
7曲目にミディアム・
バラードの傑作「Crazy for you」がくる。
ラスト・ナンバーは「Cherish」。アンコールは「Celebration」。まさに完璧なセット・リスト。
その新曲「セレブレーション」が、新曲なのに、すでに世界中で大ヒットした有名曲の中に混じっているのに、
最高なのがすごい。デビュー間もない、たとえば「マテリアル・ガール」みたいな曲と、いい意味でちっとも
変わっていない彼女がそこにいる。全然変わらないで、同じ流れで、すごいことをするというのは、やはり凄い。
途中に、彼女が語りをする箇所があるが、そこがまた自然な語りかけになっている。
「あなたが服を着ていたから、誰だかわからなかったわ。あははは」なんていう。
このアルバムは、「マドンナ」の曲をじっくり聴くというよりは、これをかけながら、みんなでもりあがる1枚
(もちろん自分ひとりで聴いてもいいが)。全曲リマスターされて、音質とレベルが見事にそろっている。
「Into the groove」など、ベースラインがくっきりと強調され、気持ち
よいことこの上ない。各曲の魅力度が
数段アップしていて、ベスト・トラックが並ぶ。ポップ・イコンの王道と実像を示しきった充実の2枚組全36曲。