私はこのツアーの
大阪公演に行きました。ツアー最終日ということもあり曲目も多少変えているとは思いますが
もともと単調なサウンドのコンサートだけに、MC部分とかオフショットを本編の中に組み入れもう少しメリハリを
つけた編集にした方が良かったのでは。ファンとしてはMC部分が相当カットされていたのが残念です。
「ゲゲゲの女房」で松下奈緒を知りました。女優としてはまっすぐで器用とは言い難い演技に味わいがあると感じますが、音楽家としての顔は随分と幅広い。本作がベストと言うにふさわしいかは詳しい方に譲るとして、初心者にはとても楽しめるアルバムと思います。
聞きなれた優しいメロディーをソロPで奏でる1に続き、
アルゼンチンタンゴを彷彿とさせるカッコいい2。3から8はTVスペシャルからのマテリアル、美しいストリングスとのしなやかな曲を軸に、5では同志社女子大でパイプオルガンに挑戦、7で見事にフュージョンし、8は俊英三浦一馬のバンドネオン共演と、とにかく飽きさせません。11から13のソロPは、素朴さの中にも高い音楽センスを感じます。唯一Voを取る16、個性的な歌い方が好きです。
3曲目の『夏の思い出』を聴きたくてこれを購入しました。昨年9月に放送された『行列のできる法律相談所』の特番で、ゲストの松下奈緒さんが、島田紳助の希望でデートをし、最後にそのお礼としてこの曲を弾きました。紳助が流した涙のシーンも印象的でしたが、奏でられる音楽の美しさと優しさに参ってしまい、以来『夏の思い出』は記憶に残る名曲として心の奥に飾られていました。再聴してもその印象は全く変わっていません。いいですね。
コンポーザー兼ピアニストとしてすでに数枚アルバムを発売していますが、最初のアルバムから彼女の作曲家としての能力に魅かれました。美しい外観だけでなく、しっかりとした内面性が音楽にも表出しています。
8曲目の『足跡』での内省的で抒情的な世界が好きです。何気ない情景が浮かんできますが、陰影のある感情の揺らめきを音に乗せ、光が差し込むような色彩の変化も感じられ、作曲家としての力量が伺える曲です。
11曲目の『VOCE』は、教会でのオルガン演奏を聴くような和声の展開が癒しの極致のように感じられ、敬虔な雰囲気を感じさせるものでした。声高に主張するのではない音楽が、彼女の感性にとても似合っています。
12曲目の『ほし』からは、涙がでるようなリリシズムを感じ、気持の揺らめきを音にのせるテクニックも上手です。懐かしさが伝わってくる旋律の歌わせ方はリスナーの心に届きました。
ピアノソロでの13曲目『f solo』は、ピアノの軽やかさと華やかさを感じさせる曲です。1曲目よりもこちらのアレンジの方が気に入りました。印象的なフレーズは記憶に残りそうです。