YMOの原点であるこのアルバム。私にとっては宝箱です。
今聞いても、全然古い気がしません。というか、なぜ今、これが作れないのかというパラドックスに悩みます。
あまりに基本なので聞いたことがない人を想像できませんが、若い人でYMOに興味を持っている人もいるかと思いましたので、ちょっと内容を紹介。
テレビゲームの電子音から始まり、電子音で終わります。そしてその間には、目眩く東洋の揺蕩いと、SF的未来像がカオスになっています。
「
シムーン」はヴォコーダのヴォーカルでありながら優しい歌声です。
最近のトゲトゲヴォコーダ声とは、この時代ですでにレベルが違うんですよ。
「中国女」は曲は中華、言語はフレンチ。とてつもないごちそうです。
まさにマジック。これで?激されない右脳など捨てた方がよい。
YMO世代の自分だが、YMOをきちんと聴いたのは散開してずいぶんたってからだ。YMOがまだ活動していた当時は坂本龍一氏とその周辺の人々の曲を夢中になって聴いていた。だから、YMOに何があったのか、どのくらいアルバムを出していたのか、当時メンバーがどんな葛藤を感じていたのかを知ったのは、のちに出た書籍によってだった。この本もその1冊だ。読み応え十分の本だと思う。
今、YMOのビデオを買うというのは、熱狂的なファン以外なら、その理由の方に興味が湧くでしょう。このビデオは、
横浜の根岸・森林公園内にある、旧競馬場跡がステージとなっているという点が、買いです。この競馬場跡は、現在では米軍から返還されたものの、フェンスで高く覆われて、立ち入り禁止となっており、こうして昔の映像で偲ぶしか無い訳です。日本で最初の競馬場跡(といっても当時は上流階級の社交場的な存在ではなかったかと思います)は、長年の風化によって、何とも味が出ており、このビデオを観て興味を持たれた方は、当地に行かれて、往時に思いを馳せるのも一興かと。こういう枝葉末節で映像を鑑賞するのも、許されるかと思います。