年明けに都内書店店頭で平積みになっている本書を初めて見かけて、「これだぁ!!!」と思い、迷わずに購入しました。この数年間、私自身、1中年サラリーマンの漠然とした問題意識として、人口減少問題と日本の地方の衰退とのつながりを頭の中にあったのですが、人口統計自体に不備があることや
調査分析に非常な労力や時間を有することから、そうした問題意識に踏み込むことができずにもどかしさを感じていました。本書は、著者がそうした問題意識から逃げることなく、真正面から取り組んだ労作であり、近年の地方関連書籍では断トツでナンバー1の良書であると思います。本書では、まず前半において人口問題と日本の地方の衰退との因果関係について分析した結果が述べられており、後半では著者の経験や得意分野などを踏まえて、著者が地方再生の有力分野であると考える農業分野を中心とした地方再生施策が具体的に提言されています。著者は、本業として組織再生の請負を業となさっていらっしゃるとのことであり、本書は、著者初めての著作のようですが、私は、将来、この著者がきっとブレークするのではないかと期待・予想しています。こうした地方の組織再生の現場経験を踏まえた
調査・分析というアウトプット(書籍)は、今まで多くはなかったですし、これからの人口減少社会の日本の地方のあり方を考えていく上で貴重な材料になるでしょう。本書定価はやや高いですが、本書までの著者の労力や志を思えば、それだけの価値は充分にあります。特に地方問題に関心のある方には、是非手にとってお読みいただきたいです。私は、本書を読み終えるのが、とても惜しまれるような気持ちになりました。著者には、これからも、第2、第3の著作を積極果敢に出版していって欲しいと思います。