旅人を襲った山賊は女を手に入れるが、その美しさに魅せられ女を満足させるため無理して都会に住んだり、人を殺して切り落とした首をあたえたりすようになる。最初は力と暴力で自分の物にするつもりだったのに、女のペースにはめられ抜け出せなくなり、哀れな最後を迎える事となる。これは時代劇とは全く違う、独特な感性の世界で岩下志麻演じる女が本当に人間なのか、いつの時代でドコの話なのか全然分からないし(知っても意味無いし元々設定もないだろう)あまりに現実味が無く誰かの妄想を覗いているような不思議な気分です。”桜の下には死体が埋まってる”とか”人を狂わせる”とかダークなイメージもある桜を使って、狂気の世界を表現するラストあたりになるともうすっかり訳分かんなくなってて、でもそれでいい、何かハッキリした答えなんかなくてもいいや、って気になります。
1曲目からものすごい衝撃を受けました。 こんなCDは世界中探しても他にないと思います。 耳ざわりのいい曲では全くありませんが、どうしても頭に残ります。 音楽と詩の中間地点にあるような、非常に不思議な感じです。 とにかくすごいです。圧倒されました。
すごく醒めている。それでいて思索的だ。
ロレンスの作品に言及している一節があるが、確かに本作は、ロレンスの対極に位置している。ここで描かれている「エロス」は徹底して虚無で、無機質だ。
途中で女の友人が登場するが、これは作者の詩「水いらず」(これも大変良い作品)を想起した。しかも、彼女の運命たるや、えげつないことになっている。
富岡多恵子は他にも「当世凡人伝」という傑作をものにしているが、この作品もやっぱり「当世凡人伝」だと思う。
富岡多恵子の文学には「文学的な飛翔」はついぞ訪れない。
もしバタイユが「文学と悪」で、この作品を取り上げていたら、きっと絶賛していたんじゃないかな、と思う。
中勘助ファンである私が、同じ中勘助ファンの知人に 「富岡さんの中勘助論はおそろしくらいに凄い」 と奨められるまま、書店に走り、そして買いました。 この方の評論は初めて読んだのですが、矢張り一言でいうなら「凄い」としかいいようがありません。 どうしてかというと、中さんの本を読む中、その今はもうない優しい世界に憧れつつも、一部に対して「むむむ?」と疑問を抱いたり、「それは今で言う...」とツッコミを入れてしまいたくなったりした事が多数有ったからなのは否めません。その点に関して、この著者の方はばっさりとメスを入れ、そしてその理由を明晰に分析しておいでだからでしょう。 私自身、事前に色々考えてはいた問題に関して、焦点があたっており、それ以外の点についてもきちんと説明されている為、こういった評論で時折感じる嫌悪感というものは感じず、一気に読んでしまいました。「銀の匙」での祖母との関係や、妙子とその母に関しての考察、「蜜蜂」の兄嫁について...の事と、中さんの奥様の事、そして当時の社会における女性の立場について...と、俎上に上がっている題材はたくさんあります。 ある意味、そういったデータを駆使して、中勘助氏の頭の中にあるブラックボックスの解剖をしてしまったともいえる本という印象が残っています。 それでもなおかつ、この本を読んだ後に中勘助の「妙子への手紙」を読み直して泣いてしまいました。この評論は、読後感が著者のイメージを壊していないのが、著者の凄みだと思うのは...矢張り私が長年(中さんってロリコンっぽい)と密かに思っていたせいなのでしょうか??それだけじゃないと思うのですけれども!
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