まずはBD化、ありがとう紀伊國屋さん。だけど、このタイミング(アンゲロプロス逝去直後)でのリリース発表というのが、ちょっと心配です。と言うのも、(言い方はよくないですが)この機に乗じてのリリースならば、BDとしての完成度に不安が残るからです。しかし、紀伊國屋さんの、これまでの製品作り(画質、ブックレット、タイトルラインナップ等)には、概ね満足(価格以外)しているので、星五つ献上します。他作も含めて、巨匠が残してくれた大切な宝物の誠実な商品化を期待しています。
今年2008年はオリンピック・イヤーだ。もう4年も経ったのだなあ。アテネから。
2004年アテネオリンピックの記念でもあるまいか、紀伊国屋書店からアンゲロプロス映画全集がDVDで出されたことは大いなる快哉を叫んだものだ。
1996年に刊行された本書『アンゲロプロス―沈黙のパルチザン』は、アンゲロプロスファン必携の1冊であり、いまだにその資料的価値は古びていない。
巻末の100ページ超に渡る『旅芸人の記録』の全ショット採録は、この大傑作を愛するものには繰り返し参照できるものだ。
『永遠と一日』『エレニの旅』以前の『ユリシーズの瞳』までカバーしている記述は得がたいものであるし、アンゲロプロスのプロフィールが年代順に描かれる「自分史」は、そのまま現代ギリシャ史である。我々アジアの民にとって縁遠い世界であり、なかなか知る機会もないが、これを読むだけで彼ら現代ギリシャ人の過酷な道行が一望できるのだ。こうしたヒストリーを知って、作品を見ることは大変意義深いことだと思う。
アンゲロプロスの映画作品は、そのまま現代史のドキュメントでもある。
その後、これ以上に熱いアンゲロプロス本は出ていないようだ。
アンゲロプロス様の映画は本当にもう
毎回毎回毎回毎回〜ケレンの塊のような画を見せてくれる訳ですが、
こんだけテクニカルな映像をこれでもかとこれ見よがしに見せ付けられているのに、
毎回やっぱりスゲーと思ってしまうのが凄いとこだと思います。
群集の壮大さを描いてみても、個人の孤独感を際立たせてみせても、
ちょっとやっぱり数多の監督たちとはレベルが違うところに至ってしまう、
で、未だ健在で相変わらずクオリティの高い映画を撮り続ける体力。
私は「霧の中の風景」が一番好きなんですが、
この中でも「もうこのオッサンなんちゅうことすんのや・・・・」という位のあざとさが一杯で、
でも死ぬほど泣かされている自分に気が付く訳です。
子供が成長したときに見て感動してくれたらいいな〜と思い、
一生モノとして購入しました。
アンゲロプロス作品の中では見応え以前に、 とても見やすい印象を受けました。
監督特有である曇り空の薄いシアンの撮影案配 印象付けではなく漂わせる立体物 そして溶け込み過ぎな程のギリシャの神秘と退廃 建造物を含めた圧巻のロケーション
「あなたは恵まれている」とゴダールに皮肉ともつかない 賞賛のような苦言を呈され、悩み抜いた人間性。
その繊細さゆえの、随所にみられる孤独感と信頼感の兼ね合い
孤高の映画作家にふさわしい情景を映し出したと思います。
追悼の念を込めて
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