ジャーマンロックバンド、ポポル・ヴーの1st。1971作。邦題は「猿の時代」
シンセとパーカッションのみによる多重録音の作品で、後のKlaus schulzeにも
大きな影響を与えただろう、静謐感と浮遊感のただようエレクトロサウンドである。
フローリアン・フリッケは、この後2ndまではシンセをメインにした作品を作るが
それに限界を感じたのか3rd以降は生楽器による静謐感の実現を選んだ。
この作品は、ムーグシンセをメインにした画期的なアルバムであり、
太古の世界を思わせる世界観と、水や土を感じさせる自然感の再現という点でも
ひとつの芸術作品と言い得るだろう。音楽…「音」世界の可能性を広げた作品だ。
ポポル・ヴーの5th。1974作/邦題「一人の狩人と七人の狩人」
前作からAMON DUUL'Uのダニエル・フィッヒェルシャーがメンバーとなり、
それまでの音にギターとドラムが入ることで、よりロック的なアプローチを取りはじめている。
ピアノに絡む美しいフルート、そこにロック的なギターフレーズが加わって、
音に厚みが増し、一般のプログレファンにも普通に聴きやすいサウンドになっている。
インストの比重が多いので、ときおり入る女性Voはあくまでおまけ程度だが、
サウンドの美しさは不変で、このバンドの入門用としてもお勧めできる。
ラストの19分の大曲も聴きごたえがある。中期の代表作といえるだろう。
走馬灯を見るときにどこからか流れる音楽のようで、切ないというか、胸をかきむしられる。今までに体験したことがないような音楽。これだから音楽探求はやめられない。
ポポル・ヴーの6th。1975作/邦題「雅歌」
聖書の一節をモチーフにした作品で、ジャケからしてすでに美しい。
インスト主体だった前作に比べて楽曲構造はややシンプルになり、
このアルバムが最後となる女性Vo、ディヨン・ユンの歌声がより前に出てきている。
サウンドにはブリティッシュのサイケロックに通じる普遍性が入り込み、
神秘的な薄暗さはなくなった。東洋的なフレーズなどに聴ける無国籍感と自然思想的な
おおらかさが全体をやわらかくしていて、ソフトなAMON DUUL'Uという雰囲気もある。
ポポル・ヴーによるヴェルナー・ヘルツォーク監督の同名映画のサントラ作。1978作 こちらはピアノとシンセをメインにした、いかにもサントラ的な作風で、 たゆたうような静けさの中に薄暗さとミステリアスな雰囲気とが感じられる。 美しいピアノにオリエンタルなシタールやタブラなどがゆるやかに絡み、 音数は少ないながらも、やはりフリッケらしさの表れた作品といえるだろう。
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