フランスの映画音楽の巨匠ミッシェル・ルグランが音楽を担当。さすがに素晴らしい音楽空間を醸し出している。ストーリーそのものはシンプルなものだが、音楽という調味料でこの映画の全域が美しい印象を我我に与えてくれている。この映画にミレイユ・マチューが「モンパリ」を歌うシーンがあるが、見終わったあとでも妙にそのシーンが頭に残る。ほのかで良い作品である。
好みの楽曲が10曲以上ある歌手は少ない。しかも該当する歌手の大半はフランス人だ。ミッシェル・ポルナレフ、エンリコ・マシアス、サルヴァトーレ・アダモ、シャルル・アズナヴール、ダニエル・ヴィダル、シルヴィー・ヴァルタン…。 わけても圧倒的に多いのはミレイユ・マチュー。が、ふと考えてしまう。楽曲が好みだというのではなくて、彼女の声質でどれも好みの曲に聴こえてしまうのではないかと。あの小柄な身体から繰り出す偽りのない歌いっぷりは、他の追随を許さぬものだ。はじめて知ったのは「ラスト・ワルツ」。先にエンゲルベルト・フンパーディンクの歌唱によるこの曲を聴いていたが、マチューを耳にしてしまったらもうダメだ。その後一度もフンパーディンクを聴く気になれないままとなった。 深く耳の奥に印象付けられて、一日中そのメロディーが頭から離れなくなることもある。「La Marche de Sacco et Vanzetti」(このCDには収録されていない)などはその典型的な楽曲であると思っている。 さて、数あるミレイユ・マチューのCDのうち、この「Bonjour Mireille」には、特に素晴らしい楽曲が沢山入っているというのが私の感想。2枚組CD、2枚目の第5番目「DER TRAURIGE TANGO」は聴き惚れる。 イタリアのミルヴァ、ギリシャのナナ・ムスクーリ、日本の天童よしみ。好きな女性歌手は多いけれども、フランスのミレイユ・マチューは別格だ。そのミレイユ・マチューの名を知らない人間が周囲に大勢いることが、とにかく信じられない私である。
ミレイユ・マチューが一体どれくらいの曲数を世に出しているのか、私には調べる術もありません。ただ確実に言えるのは私が今日までに聴いた数など知れたもの、ということであります。出来ることならば一曲残らず全て聴いてみたいものですが、ミレイユ・マチュー通でも何でもないこんな私が、最も好きなミレイユ・マチューの曲といって挙げたい曲が、このCDに収められております。 第11番目の楽曲「Leben Will ich nur mit dir」がそれです。私に言わせればオーソドックスでない曲風、まことに心地よいテンポ、そして何と言っても見事なミレイユ・マチューの歌いっぷり。
好みというものがあって、同じアーティストの曲でも生涯の友になるようなものもあれば、大して好きでない曲もあります。けれどもミレイユ・マチューの楽曲は、少なくとも私にとっては非常にツブが揃っておりまして、特に好きな曲を選び出そうとしても、すぐさま20曲ぐらいを数えてしまうのです。とにかくミレイユ・マチューは楽しめます。
キャピトルレコードのCDで曲数、選曲も十分満足のいく2枚組でした。
聞きたい曲がすべてはいっています。
音質も満足のいくものでした。
彼女の美声が再現されて、
いうことなし。
Mirelle Mathieu がフランスのシャンソンを歌う大歌手であるということなど全く知らずに購入しました。クラシカル・クロスオーヴァーのアーティスト、Sarah Brightman がアルバム「La Luna」で歌っている「La Califfa」の別バージョンを聴きたい、というただそれだけの理由からでした。Morricone (彼については勿論よく知っていました)の美しい旋律が素晴らしい。そしてその旋律を感情たっぷりに込めて最高の歌唱を聴かせてくれるMirelleがまた素晴らしい。'74年の録音ということもあり、ノスタルジックな雰囲気が漂いますが、それもまた一興ですね。
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