日本文学史を自然科学的思考法により解析した日本思想文化史序説。時空的比較に特徴があり、日本の土着思想が外来思想との対比で論じられ、仏教と儒教と神道はしばしば引き合いに出され、菅原道真のシナ語の詩文と紀貫之のかなを利用した叙情詩が比較される。下巻では、宮沢賢治が柿本人麿に比較される。上巻は元禄文化まで。
レコード芸術で評価が高かった日本歌曲のCDで、とにかく類を見ないほど収録曲が多い。
車で聞いてます。
1.「からたちの花 」
ここまで思いっきり豊かに歌い上げたのは、類を見ない新スタンダード。
5.「悲しくなったときは」
天井桟敷の師の詩になつかしい孤独なすがすがしさを覚える。
8.「六つの浪漫」(~風をみたひと)自然と一体になったナウシカの絵が出てきた。
13. 「落葉松」
野崎由美の情感豊かな歌は永久保存版。傑作
14. 「鳩笛の唄 」同じく傑作
16. 「暖炉の部屋で」
暖かい気分にさせる私のお気に入り。鼻歌でよく出る。なぜかマッチ売りの幸せを祈る。
我々が持っている人生の時間は無限ではありません。したがって、一生の内に読むことのできる書物の数は限られています。本書では、限られた時間を有効に使う読書術、愉しむための読書術を説いています。
「遅く読む精読術」「本を読まない読書術」「難しい本を読む読破術」など、一見、論点から外れた読書術のように受け取れますが、全て一理ある読書術でした。
自分が必要とする書物を選び、書物ごとの特性を知り、その書物に合った読み方をすることが著者の勧める読書術です。
本書のおかげで時間を有効活用する手段は速読だけでないことに気が付きました。この味のある読書術は、今後の読書を愉しくしてくれそうです。
年1回以上、加藤周一を囲む会をしていた"凡人会"が起こした本。平易に穏やかに加藤周一が話をしています。ただし、本人が死によって目を通してないせいか、やや焦点が甘い印象があります。
小生の印象に残った点は以下です。 ・伊藤若冲の絵は、見事だが平面的。細かくて体系的でない。 ・禅宗は、心の中だけで保守的。浄土真宗は、社会性があり革新的。一休はそこに惹かれたのかも。 ・"15年戦争"という満州事変(1931年)から敗戦までの言い方は、鶴見俊輔が最初に言い出した的確な言い方。 ・叛軍の2.26事件は1936年だったが、天皇自ら鎮圧しようとした。日本はドイツと異なり、異分子が戦争を煽動したのではなく、正規軍が戦争を遂行したことにより国民の責任がより大きい。 ・鞍馬天狗とは、フランス革命的自由主義。 ・自衛ではない(侵略)戦争はない。 ・矢内原先生は、内村鑑三に私淑していた。現役武官制の危険性を早くに気付いていた。いつの間にか自由が無くなっていく。 ・武者小路実篤や小林秀雄は、クウキで戦争に賛美した。一方、暴力に抑圧された良識ある学者は「沈黙」した。 ・自由の基盤は、個人主義。クウキで動かない普遍性、人間中心主義が大事。 ・戦後が終わるときは、「戦前」の始まり。 ・"普通の国"というなら、まず先進国では認められている公共労働者のスト権を認めよ。日本は人権意識が低すぎて普通ではない。 ・イラクに出兵しても、ルワンダには出さない。人権保護/民主化は建前に過ぎない。 ・三井三池は「また朝鮮戦争が起きてくれれば」と公言していた。戦争で利益を得る経済界には要注意。 ・軍事支出は、最大の無駄遣い。 ・北朝鮮が攻めてくる筈など無い。攻めようとすれば北朝鮮自体が自滅する。 ・ピーター・フォークは、(ピーター・フォークのファンだった)昭和天皇からのアポを先約により断った。へつらわないことは見事。 ・大岡昇平は、(たくさんの戦友を殺した)天皇から賞を貰うのは恥ずかしい、と日本芸術院会員就任を断った。 ・南京大虐殺では一万人以上が殺された。虐殺でないことを証明することは不可能。 ・日本人だから日本を批判する。日本の参政権を持っている以上、批判することは義務。一丸となって戦争支持するのでは、15年戦争から何も学んでないことになる。「ひとりでいいんです」反対を始めるのは。 ・クウキ/生活に負けないためには、海外に一人でもいいからよく知っている友人を持つこと。そうすれば、国と国民とは異なることがわかる。 ・ホロコーストのアイヒマンは普通の人。普通の人が虐殺し、反省もしない。
自由という大事なものは、個人(人間中心)主義から始まることに気付きました。
加藤周一氏の知的な面には接する機会が多くあり大変魅力を感じておりましたが、情熱的な面もあった事を知ることが出来て今までよりも身近に感じることが出来ました。
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