劇団ひとりのネタというのはある種の「リアル」を追求して笑いを生み出しているが故に、見るものがその認識を持っていないと笑う以前に理解不能だったり誤解したりしがちな部分がある。この作品はそれを恐れずに全力で劇団ひとりの世界を具現化した、コアな一作。劇団ひとりの映像作品が面白い、好きだと言える人にはまず間違いなくお薦めできます。ぜひ。
みなさんの評判の「号泣」はしませんでした。
実のところ、涙がポロリまではいかなかったです。
でも、涙がこぼれ落ちなくても面白い作品は多々あります。
それが、この本だと思います。
青春劇としての小説としては、くすぐった過ぎず
調度よい具合に胸に飛び込んでくるパズルのピースのようで心地よかったです。
アイデアがすばらしく、また、日記という形式でありながら却って情景がよく浮かび上がり
作家の思うがままに読者は誘導されていったと思います。
これを、演者同士が決して顔を合わせることのない舞台劇にしてくだされば…楽しいだろうと思いました。
例えば舞台の上手下手にひとりずつ立ちライティングで切り替えながらモノローグとして上演してみてはいかがでしょうか。
最後に、星三つとさせていただいたのは、自分自身がちょっと「号泣」したかったのでちょっと違ったかな…と。
それだけです。作品が悪いという意味ではありません。
『QuickJapan(クイック・ジャパン)』(太田出版)はサブカルチャー系雑誌である。記念すべき第100号は大きく4本の特集を組む。
第一に2012年4月放送開始のアニメ『AKB0048』(エーケービー・ゼロゼロフォーティエイト)の特集である。人気アイドルグループAKB48の派生作品であるが、単なるアイドルの人気便乗作品ではない。近未来の宇宙を舞台とするSF作品である。芸能活動が非合法化された世界で、非合法的に公演を行うアイドルAKB0048の活躍を描く。
AKB48と言えばマスメディアの作出するブームに乗っかったトップアイドルである。握手権などのシステムはAKB商法と批判され、商業主義の権化のように見られている。特に脱原発ソング「ダッ!ダッ!脱・原発の歌」を発表して社会的発言を深めるアイドルグループ・制服向上委員会と対比する形で、体制寄りのメジャーな存在としてAKB48が槍玉に挙げられる。
しかし、そのようなAKB48理解は一面的である。もともとAKB48は秋葉原というローカル劇場で公演を繰り返していたグループである。マスメディアに露出して売るという商業主義的路線の対極に位置する。そのようなAKB48の反メジャー的な精神を『AKB0048』は設定で上手に昇華させている。記事でも『AKB0048』の作り手がAKB48の本質をつかんでいることが理解できる。
当然のことながら、『AKB0048』にはAKB48とは異なる設定がある。記事で注目された相違設定の一つに襲名制がある。前田敦子や大島優子のような現在の人気メンバーの名前が歌舞伎役者の名跡のように襲名されている。たとえば11代目板野友美や8代目小嶋陽菜という形である。
AKB48はモーニング娘。と同じくメンバーが入れ替わるユニットと認識されているが、初期メンバーが全員卒業しているモーニング娘。とは異なり、未だ代替わりをしていない。神7に代表される初期メンバーが現在でも人気の中心である。芸能プロダクション的には個人に依存せずに売れる仕組みを作りたいと考えているだろうが、AKB48は個人の才能に依存している。襲名制という考え方はAKB48の人気持続のヒントになり得る。
第二の特集は「あなたと未来を変えるキーパーソン20」である。映画監督、作家、ミュージシャン、芸人について各々5人をピックアップする。選考者も気鋭の存在であり、尖がった選び方がされている。面白かった内容は「入江悠が選ぶあなたと未来を変える映画監督5人」である。家賃を平気で滞納しているという映画監督を、変人ぶりを示すエピソードとして肯定的に評価する(93頁)。
一方で日本では僅か一日の家賃滞納で高額な違約金を請求し、追い出し屋に豹変するゼロゼロ物件業者もいる。入江氏も「賃貸&生活費などの現状維持が厳しくなった」(89頁)と書いているように気鋭のクリエイターを取り巻く経済的状況は厳しい。ゼロゼロ物件などの貧困ビジネスは文化の破壊者でもあると実感する。
第三の特集は「テレビ・オブ・ザ・イヤー2011」である。現役放送作家9名の対談で面白いバラエティ番組を選ぶ。満場一致で大賞を受賞した番組は対決物であるが、敗者へのフォローをしっかりしている点が評価された(64頁)。番組プロデューサーへのインタビューでも「素人ナンバーワン決定戦にしちゃうと、少なからず傷つける人が出てくる」とし、両者のプライドを守ることを重視したとする。勝負は番組が勝手に決めたルールで対戦した結果であり、絶対的な勝敗ではないとの意味が込められている(72頁)。
第四の特集は高城れに(ももいろクローバーZ)へのインタビューである。ももいろクローバーZはアクロバティックなパフォーマンスで通常のアイドルと一線を画した存在として注目されるが、もともと高城さんはモーニング娘。の久住小春に憧れていたという(132頁)。
モーニング娘。もデビュー当時はテレビ東京のオーディション番組の落選組を集めて結成され、B級感漂うグループであった。『LOVEマシーン』などのヒット後もアイドルとして偶像化されるよりも、面白さを持った存在として人気を誇った。そのモー娘。が正統派アイドルとして対比される存在になっていることに時代の移り変わりを実感する。
インタビューでは遅刻をしないことやレッスンに誰よりも早く行くことなど高城さんの努力も語られている(133頁)。このような小さな積み重ねはモーニング娘。やAKB48とも共通する。異色のアイドルとして注目される「ももクロ」であるが、根っこのところではつながっている。
手作りの人形を1コマづつ撮影する昔ながらのアニメに、コララインの人形だけで28体、20万種類以上の表情バージョンが用意され、撮影には4年をかけたそうです。50億円以上の大予算を組んでいるからこそ出来る力技であり、ストップモーションアニメといえども、安っぽさはまったく無いです。
そのくせ、背景の桜の花をよく見ると、なんとポップコーンだったりするなど、手作り的な味わいも大切にしているのがよくわかります。 加えて、最新のデジタル3Dを導入したダイナミックかつクリアな映像はシーンごと色彩を変え、非常にファンタジック。特に、めまぐるしく変わる登場人物の表情がとても繊細でチャーミング。
3Dというのは、画面が全体的に暗くなるのですが、本作は夜主体のドラマということで、暗めの色調もこの技術と相性がいい。
「別のママ」の正体がわかってからは、怒濤のクライマックスまで一直線。消えた両親を奪還するという物語の構造は、「アイテム獲得」や「ボスキャラ倒し」といった、まるでコンピューターゲームみたい。それは、それで面白かったです。
聞き込むうちにどんどん気に入ってきました>みんなのうた2
前作と比べると、ファンじゃない人の前でも歌いやすい歌が増えたような気がします。
ナチュラルに共感しやすい曲もあって、「恋に生きる人」は爽やかで切なくて大好きです。
社会的な毒もコチラの方が大きいですが(何しろ「ドライブ」「母さん」が収録されているのですから)。
「顔」の続編、「心」も負けずにインパクトのある曲ですし、なかなか聞き流すことのできないアルバムです。
DVDは出来がすばらしいです。カラオケでPV映像が流れればもっと布教しやすいんだけどな‥‥。個人的には「心」も「顔」っぽく作って欲しかったですが、満足でした!
|