この映画の世界は「ディストピア」ということになるのでしょうか。映画を見て爽快な気分になりたい方にはお勧めできません。市民は利便性を無視した無駄な規則に縛られ、役所は市民の届出をたらいまわしし、役人の汚職・失策とその隠蔽がはびこっているにもかかわらず、大多数の市民はその現実に気づこうとしない。とある極東の島国の現状を思い出させます。絶望的な世界で半ば思い込みの恋愛にしがみつく主人公、陽気なテーマ曲、随所にちりばめられたコミカルな場面、ドギツさと紙一重のビビッドカラーの氾濫、すべてが混ざり合ってとても印象的な映画です。
映画館もあまりいったことないし、この本にのっている映画も、
本を読んでから初めてみました。
そんな私でも、町山さんから繰り出される怒涛の知識と裏話に、
映画に興味をもてました。
映画ってよくわからないものだなー頭いい人がつくるからかなーなんて
のんきに思ってた考えを改めました。
知れば映画はもっとおもしろい。
監督の人生が反映されたってことがわかるとさらに。
もっと映画を見てみようと思いました。
本編とバンデットQ、バロンがギリアムの「夢をテーマにした3部作」といわれている。バンデットQは少年の夢、バロンは老人の夢、本編は三部作二本目にあたる働き盛りの大人の夢になる。 3部作どれも素晴らしい。本編は他の二つに比べ暗く、メッセージ性が強いが、特に見ごたえがある。 今見ると豪華なキャストも完璧、作りこむので有名な美術も一見の価値あり。主題歌のブラジルの使い方もすばらしい。そして特筆すべきは風刺の利いた未来世界だろう。 約20年前のギリアムの未来像を今見返してみると、公開以来資本主義を追及してきた日本やアメリカの文化に少し重なって見えるところがある。 広がる貧富の差。中産階級のための高層団地。人々の環境破壊や産業廃棄物への無関心、技術開発のための開発が施された新製品や整形手術への執着。純愛などは過去の物、恋愛はほとんど「若さと美しさを買える特権階級が対象の商品」と化しているかのよう。 そして、それ自体がテロであるかのような暴力的なテロ対策… ギリアムの1985年の悪夢はひょっとしたら2004年の資本主義世界を少し誇張しただけのものに過ぎないのかもしれない。 10年程前学生時代に見た時に比べ、寒々とした社会で恋のために突っ走る主人公に、より感情移入し、切なくなってしまった。 アメリカ公開時当初はハッピーエンディングに変えられたらしい話題作。気軽に見れる作品ではないが、重要な一本。重い素材だが珠玉の作品に仕上あがっている。
1985年に上映された元モンティパイソンのテリーギリアムが「バンデットQ]の次に放ったのが本作「未来世紀ブラジル」だった。アメリカではエンディングをハッピーエンドに修正しろと圧力をかけられ、やむなく米国ではハッピーエンディングバージョンで上映され、英国上映版とは違った終わり方をしているらしい。 本CDでは、この映画で何度も登場する名曲「BRAZIL」の様々なバージョンのメロディーが何度も登場するが、僕はエンディングでサムが手術を受けた後に流れるサンババージョンの「BRAZIL」が大好きで、この曲を聞きたくてこのCDを購入したようなものだ。スコアは元ピンクフロイドのロジャーウオータースとの仕事をこなしたマイケルケイマンが担当し、近未来の憂鬱な状況や氷のような冷たいメロディーを奏でている。1曲だけケイトブッシュがボーカルを担当している。
この映画の世界は「ディストピア」ということになるのでしょうか。映画を見て爽快な気分になりたい方にはお勧めできません。市民は利便性を無視した無駄な規則に縛られ、役所は市民の届出をたらいまわしし、役人の汚職・失策とその隠蔽がはびこっているにもかかわらず、大多数の市民はその現実に気づこうとしない。とある極東の島国の現状を思い出させます。絶望的な世界で半ば思い込みの恋愛にしがみつく主人公、陽気なテーマ曲、随所にちりばめられたコミカルな場面、ドギツさと紙一重のビビッドカラーの氾濫、すべてが混ざり合ってとても印象的な映画です。
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